人は未来のことには楽観的になりやすい
ウィスコンシン大学(米国)のロビン・タナー教授とデューク大学(米国)のカート・カールソン教授が、こんな実験を行いました。
彼らは被験者たちを2つのグループに分けて、一方のグループに以下のような質問をしました。
「来月は週に何回くらい運動をしようと思いますか?」
それから、別のグループには、少し言葉を変えてこんな質問をしました。
「理想的には、来月は週に何回くらい運動をしようと思いますか?」
この結果、なんと2つのグループの回答に差は見られませんでした。それどころか、「現実的に考えて答えてください」と言われた参加者たちも、やはり楽観的な予想によって回答しました。
私たちは先のことを考えるとき、「きっと今よりも時間に余裕があるだろう」と考えがちです。これは、何を隠そう、私自身にも当てはまります。毎年毎年、「きっと来年になったらもう少し仕事が楽になるだろう」と期待してしまっています。
こうした性質のせいで、「今はやりたくないことも、あとになればきっとやる気になるだろう」と考えてしまうようです。
その後、被験者たちを集め、実際に運動した回数を報告してもらったところ、案の定、予想よりも少ない回数でした。そして、教授たちはあらためて、同じ参加者たちに質問をしました。
「次の2週間で何回運動をしようと思いますか?」
すると、参加者たちは不本意に終わった結果を挽回しようと思ったのか、さらに多い回数を申告しました。もちろんできるわけもないのですが……。目標は「達成可能なものでなければならない」のは、すでにお伝えした通りです。
毎日一定の行動をすると、積み重ねの重みに気づける
しかし、受験生にもこういう子どもが多いのが現実です。忘れた宿題を「来週までにやってきます」と言って、本当にやってきた子なんてほとんど見たことがありません。
このような先延ばし癖は、どうすれば克服できるのでしょう?
その方法が、「毎日同じ行動をする」ことをルール化することです。
「やったり、やらなかったり」を減らし、毎日一定の行動をすることが、先延ばし癖を克服するために最も効果的です。
今日1時間多く勉強すれば、明日も明後日も、その次の日も、1時間多く勉強できます。そのつながりを意識させれば、長い日数を積み重ねたときに、どれくらいの差になるかに意識が向くようになるのです。
だから、その1時間の重みに気が付けるのです。
私の経営する塾「伸学会」でも、毎週ホームルームの時間に、学習記録で1週間分の学習時間をチェックさせています。小6になると、入試までの残りの週数をかければ、どれだけの勉強時間が残されているかを可視化できます。
残り時間は日ごとに減っていくのが基本ですが、1日あたりの勉強時間を増やすと、トータルの残り時間を増やせます。
これは子どもにとっても良い刺激になるようです。
受験学年以外だと、塾以外にも習い事があったりして、毎日一定のペースで勉強するのは難しいかもしれません。ですが、できる限り「明日も同じだけ勉強する」という意識を持たせてあげてくださいね。
そうすれば、気付いたころには「習慣の力」が働き出しますよ。
・先延ばし癖は、習慣化の大敵
・「毎日同じ行動をする」ことをルール化する
・1週間分の学習時間をチェックして可視化する