野球中継、野球アニメ…減少する子どもと野球の接点

【藤田】最近は子どもが野球を好きになるというか、野球チームに入るきっかけが大幅に減りましたよね。

撮影=株式会社apricot.h、宇田川淳

【辻】メディア的な面での接点は減りましたね。

【藤田】昔は地上波で当たり前のように巨人戦が放送されていて、プロ野球が全然分からない女子でもクロマティを知っていたりとか、巨人ファンじゃない子でも巨人の選手の応援歌を口ずさんだりとかしていましたよね。ヤクルトの池山隆寛の下敷きを持っている女子がいたりとか(笑)。

【辻】あと野球のアニメとかね。僕は毎週『ドカベン』を見るのが楽しみで楽しみで。他にも野球のアニメがたくさんありましたよね。本当に日常生活の中で野球との接点が減ってしまいましたよね。

【藤田】昔は公園などで子ども達が野球をやっていましたよね。ちゃんとしたチームではなくて、友達同士で野球をやるみたいなね。そういう野球との接点もなくなりましたね。うちの息子も僕が言わなかったら多分野球に興味を示さなかったと思うんです。

小さい子ども達が野球に触れる機会って、今はニュースで報道される大谷翔平のメジャーリーグでの活躍くらいじゃないですかね。息子の小学校では同じ学年で野球をやっている子が4人しかいないんです。今野球をやっている子って、保護者が野球をやっていたケースがほとんどだと思うんですよね。

【辻】確かにそうですね。

【藤田】自発的に「野球やりたい!」ってチームに入ってくる子は昔に比べて全然少ないと思うんです。いても全体の1割くらいじゃないですかね。その貴重な1割だって、保護者が近所の野球チームの体験会などに連れて行った時に、そのチームが古い体質だったら野球をやらせたくないと感じるケースも多いと思います。そうなると野球をやる子が減るのも当前だなと思ってしまいますよね。

【辻】なるほどねぇ。

【藤田】小学生の親世代である僕らは、まだ辛うじて野球熱があった時代を子どもの頃に過ごしているんですよね。今の子達が親になる20年後、30年後とかにはもっと減っている気がします。

【辻】野球をやっていた保護者全員が自分の子どもに野球をやらせていたら、今こんなに減っていないですよね。

【藤田】だから、今何かを抜本的に変えていかないといけないですよね。