軍事の研究は政治、外交につながっている

戦後、歴史学においてはさまざまな研究者が登場し、多種多様な研究の蓄積があります。現在の日本史における花形はといえば、おそらく外交史だろうと思います。

本郷和人『「合戦」の日本史 城攻め、奇襲、兵站、陣形のリアル』(中公新書ラクレ)

鎖国に関する議論がよい例だと思いますが、元来、日本は鎖国を通じて他国との交流を限定してきたと考えられてきました。ところが近年では鎖国はなかったのではないかというような議論が盛んに行われています。古代から連綿と東アジアの国々と交流を積み重ねてきたのだというわけです。ここ20年ほどは外交史が最も日本史という研究分野のなかで盛り上がっていると言っていいでしょう。

外交史の次に注目されるべきだと思うのが、軍事の研究だと考えています。

そもそも戦いの目的とは何か。誰と戦うのか。どうすれば戦いは終わるのか。これらは全て政治であり、外交につながっています。

プロイセン王国の軍人・軍事研究家のカール・フォン・クラウゼヴィッツは自著『戦争論』のなかで、戦争とは、政治の延長線上にあるものであり、政治のひとつの形態が戦争なのだと言っています。

諸外国との関係で言えば、外交とは政治であり、これがこじれた場合には、戦争の可能性が高まってくる。そのときにやはり重要なのはリアルな軍事史であり、合戦のリアルを知ることなのだと思います。

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