最近提出が増えている第3の添付書類
とは言え、現実には「年末調整」というシステムがあるわけですから、その仕組みをきちんと理解しておくことは大切です。一般的に年末調整によって税金の額が変化する代表的なものは①扶養家族の情報、②生命保険料等の控除、そして③住宅ローン控除といったものです。
このうち、②は保険会社から送られてくる「控除証明書」、③は銀行から送られてくる「住宅取得資金の借入金年末残高証明書」を添付して会社に提出します(生命保険のうち、保険料が給与天引きの場合は提出が不要です。また住宅ローン控除は初年度が確定申告で、年末調整は2年目からとなります)。
このあたりはほとんどの人が毎年実際に提出していると思いますので、あらためてお話する必要は無いと思います。最近はこれら2つに加えて「小規模企業共済等掛金控除の証明書」を提出するケースが増えてきています。あまり聞き慣れない名前ですが、これは一体何かというと、最近利用者が急増しているiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金に対して所得控除を受けるために必要な書類です。iDeCoの加入者は2021年の8月末時点では210万人を超えています。サラリーマンや公務員での加入者も180万人以上いますので、これを読んでいる読者のみなさんの中にも恐らくiDeCoの加入者がおられることでしょう。
iDeCoの税メリットはいくらになるか
iDeCoは加入する時に色んな税のメリットがあるという話を聞かされますが、最大の税メリットは掛金の全額が所得控除されるということです。この金額はかなり大きいものです。例えば給与所得者の場合だと、公務員は掛金の上限額は年間で14万4000円、民間企業の場合だと、勤め先の年金制度によって変わりますが、14万4000円~27万6000円までとなります。iDeCoの場合はこの全額が所得控除となるのです。生命保険料控除や個人年金保険料の控除は、住民税と所得税を合わせてそれぞれ最大6万8000円ですから、最も少ない公務員でも各保険料控除の倍以上あります。
では具体的にどれぐらい税金がお得になるのかと言うと、仮に掛金の上限額が毎月2万円の場合で計算すると年収500万円の場合、年間約4万8000円の税金が戻ってきます。(iDeCoナビ参照。上記金額はあくまでも概算で、実際の金額は異なります)。