マスク着用の必須条件は「自分でつけ外しできる」
ここでは具体的に、2歳児の子どもがマスクをするのが難しい3つの理由を考えていきましょう。
(1)マスクがリスクに
先ほども述べましたが満2歳児は1歳児クラスの子どもたちです。もちろん個人差も大きいですが、全般的に本当に幼いのです。マスクを着用する最低限必要な資質・条件は「自分でつけ外しが可能である」ことだと思います。明確な原因は不明ではありますが、コロナ禍においてマスクの着用に対する健康被害の報告もあります。
2歳児は残念ながら、確実な自分でのつけ外しができないでしょう。また同時に自分自身の思いを正確な言葉で他者に伝えることも苦手です。「息苦しい」「しんどい」などを明確に言葉にすること、また感情を伝えることはできないのです。その上呼吸器や肺活量なども大人とは違い大変弱いものです。マスクをつけること自体が、窒息などの被害につながる可能性もあります。
また2歳児の中にはまだまだ「よだれ」が出でいる子どもたちもいます。スタイ(よだれ掛け)をつけて生活をしている子どももいます。その子どもたちがマスクをつけた場合、マスク自体がよだれで汚れてしまいますし、感染予防のマスクが感染源になる可能性も否定できないでしょう。マスク自体がリスクを高めるものになってしまい、本末転倒になるのではないでしょうか。
1人で6人の命を預かり、感染対策も行う保育士
(2)保育士の業務の増大
保育所では国により保育士1人で対応できる子どもの人数が決まっています。保育士1名に対して0歳児は子ども3人です。1:3の配置基準と言います。1、2歳児の場合は1:6の配置基準です。これはかなり厳しいものです。自治体等においては独自基準として1:5などにしているところもありますが、基本的には6人の2歳児を1人の保育士で対応をするのです。
通常の業務においても2歳児はとても厳しいですし、その上にコロナ禍独自の業務があります。おもちゃや使用した文房具や日用品の消毒作業、三密にならないように距離を保つような配置での食事やお昼寝、家庭の個別の様子や保護者との緊密な連携をとるための連絡業務などです。本当に現場での教務は多忙を極めています。子どもの命を預かり同時に三密の中で、自らの感染対策もしなければなりません。
このような中で2歳児のマスク着用という新しい業務が課せられたときに、どのようなことが起きるでしょうか? 一人ひとりの着用の指導と同時に、それらの管理や衛生的な配慮も必要となります。もちろん子どもたちが自分でみんながおとなしくキチンと着用して、管理できれば良いのですが、そんなことはできないのが2歳児なのです。そこに手間が取られまた人手が割かれます。子どもたちの落ち着いた日常生活が困難なものになってしまいます。