また手先の巧緻性は少しずついろいろなことができるようになってきますが、こちらもまだまだ不器用です。お箸を使うこともできませんし、スプーンを使いながら食事はしますが、こぼすことも多くあります。言葉のやりとりもある程度できるようにはなりますが、自分の思いや意志の言語化や適切なタイミングでの会話は難しいところです。
また「恐怖の2歳児」「魔の2歳児」と言われるように、自我の芽生えから、自分の思いを無理に押し通そうとしたり、過度なわがままや感情の爆発がある「イヤイヤ期」といわれる対応の困難な時期に入っていくタイミングでもあります。
子どもの周りの人が「マスクだらけ」のリスク
現在保育所においては多くの場合、保育士や他のスタッフはマスクをして保育の業務を行っています。保育士自身がコロナの感染源にならないこと、同時に子どもからの感染を予防するためにマスクを着用しています。この保育施設のマスク着用は、コロナの流行当初からいくつかの懸念がなされていました。
その最も大きなものは、子どもたちが保育者の表情を読み取れないのではないか? ということです。特に1、2歳児に関して心配をされていました。この1、2歳児の頃は、周りの人や環境と関わりそれらを自己の中に取り入れて成長をしていくという、大きな特徴があります。
当たり前と思われるかもしれませんが、日本人は日本語を、イタリア人はイタリア語を習得していき、当然のごとく話すことはとてもすごいと思いませんか。それができるのは幼少の時から、周りの豊かな言葉環境の中で外界の刺激を受け、それらを取り込んで成長するからです。
相手の顔から言葉やコミュニケーションを学んでいる
これら外界のものを取り入れる行為を「模倣」と言います。簡単にいうと「まねっこ」です。しかしマスクがあると、口の動きを見ることができず、微妙な口を動かす模倣をしにくいのではないかと考えられます。言葉に関する成長に不安を感じます。
またマスクで覆い隠されるのは言葉だけでなく、口も含めた顔の表情全体もそうです。そのことにより情による豊かなコミュニケーションが取りにくいことも、子どもたちの成長の阻害要因ではないかと心配する声もあります。マスク自体をつけることは、安全のために仕方がないことなのですが、それが子どもたちにどのような影響を及ぼすのかは、まだはっきりとはしてはいないのです。