大規模リストラで、スリム化できるか

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日本版「プレパッケージ型事業再生」によるJAL再上場までの道

会社更生手続き中のJALでは、当初の計画を前倒しして、グループ全体(約5万人)の3分の1にあたる1万6452人の人員削減を2010年度末までに実施することになった。当初は3年間で実施する予定だったが、前倒しされて、約817億円の人件費を圧縮する。希望退職の第一陣として、当初報道されたよりも多い約4000人が応募したとのことである。

再建計画により負債(借金)の大幅なカットを行う予定である。この点、JALに資金を融資してきた金融債権者は、貸した金はなるべく多く返してもらえるよう、つまり債権カット額をできるだけ少なくするように要請している。要請を呑まないと再建計画に賛成しないだろう。

しかし、債権カットを少なくするということは、言い換えれば借金がたくさん残るということである。重い借金が残り、JALが浮上することができないと、再建が完了する前に二次破綻をしてしまう危険性もある。

たとえば、04年に破綻したダイエーの再建においても、当初は債権者との十分な折り合いがつかず、何年もかかって私的整理を3度ほど行った。産業再生機構入りして、ようやく再建にこぎつけたのだ。会社の資産に応じた適正規模にまで、負債額を抑え込むこと、つまり債権カットに応じてもらうことは、かくも難しいのである。

さらに、JALの場合は、官庁間の利害も複雑に絡んでいる。国土交通省、総務省、厚生労働省、財務省、経済産業省、裁判所等、多数の官庁間の利害を調整しなければならない支援機構の負担は大きい。調整の過程において、当初予定していた再建計画自体が変更される可能性も孕んでいる。

支援機構によるJAL株式の取得の後、前述のように支援機構によって、JAL株式が数年後に売却されることとなる。

したがって、仮に再上場があるとしても、それは支援機構からの売却先(新スポンサー)が将来決めていくことである。

従業員の多数の(希望)退職が暗示するとおり、結局のところ、再建に成功したとしても会社の規模としては非常に小さな形になる可能性が高い。国際線で競争力を持つ航空会社として維持できるかもわからない。

JAL再建によって誰が儲かるかは、それが支援機構であれ、株式を取得して再上場をもくろむ第三者であれ、JALをいかに利益の出る会社にするかということに尽きる。

(構成=桐山秀樹)