「一帯一路」に協力的な国が招待されるか

この見解は、中国が国際連合に派遣している張軍国連大使が昨年12月2日に述べており、新華社をはじめとする中国のメディアが一斉に報じた。さらに、各国首脳らの訪中については「来る者は歓迎、去る者は追わず」「五輪の会期中、首脳らを呼んで行うイベントの予定は組まれていない」としている。

この説明だけを読むと、中国は「各国政府に対して、首脳の招待はしていない」という立場を述べているようだが、実際は、主要国の外交的ボイコットをよそに、より「大物」の訪中を期待している節がある。すでに、グテーレス国連事務総長の出席確約を取りつけただけでなく、ロシアとの蜜月を示すため、習主席が自らビデオ通話を通じて、プーチン大統領に対し開会式への招待を表明した。そのほか、隣国のカザフスタンへは、カシム・トカエフ大統領のもとへ中国の外交官が直接、招待状を届けたという。

冬季五輪は基本的に寒冷地でしかできない競技が多いという性格上、夏季大会が200を超える国・地域からの参加がある一方、冬季への参加は100に満たない。あるいは、冬のスポーツとはまるで縁がなさそうな国の首脳たちが開会式へと参集することも考えられる。その場合、多くは中国が推し進める「一帯一路」に協力的な国からやってくるだろう。

バッハ会長は「団結」を強調して米国を牽制?

加えて、中国と関係が深いことが取り沙汰されている国際オリンピック委員会(IOC)の動きも気になる。

「ぼったくり男爵」の異名をとるトーマス・バッハ会長は昨年4月、五輪憲章で定めたモットー「より速く、より高く、より強く」に「共に(あるいは、団結)」を加えたいと提案した。理事会の承認を受け、その後東京五輪開幕の直前に開かれたIOC総会で本決まりとなった。

変更決定をめぐり、日本のメディアはさしたる関心を示さなかったようだが、なぜか中国の複数の官製メディアがこの件について日本語でも積極的に報道していた。バッハ会長は、開会式での「長すぎた」演説でも、この「共に」を加えたことに関してわざわざ説明を述べている。

昨年の時点で、中国が「米国、英国などによる北京五輪への反発」をどう想定していたかは分からない。しかし、五輪のモットーに「団結」という文言を挿入しておけば、中国にとって団結を破る国が出てきたら、その時に「五輪の精神を踏みにじる」と糾弾できる。米国による外交的ボイコット正式発表の直前には、中国外務省報道官がやはりこれを引用。「米国がすべきことは態度を正し、より団結という五輪精神を実行すること」と指摘した。