コロナ対策も報道規制も東京五輪以上の厳しさ
観客の有無をめぐっては、東京五輪に続いてチケットの一般発売は行わないことも決まった。折しも、北京でもオミクロン株の市中感染が発生し、中国政府は「カナダから来た国際郵便がその原因」として自国の感染対策には抜かりがないと正当性に躍起になっていたが、外国人、中国人を問わず、すべての観客をシャットアウトした形だ。
ただ、招待客を入れるとの報道もある。東京五輪の時にはほとんどの会場で無観客となったが、北京では「官製の観客」が競技を盛り上げるのかもしれない。
今回の大会ではそれでなくてもコロナ感染対策のため、中国政府は選手をはじめとする五輪関係者をすべて「感染対策バブルの内側(クローズドループ方式、と呼ばれる)」へと包み込む作戦に出た。外部の人々との接触はまったくできない。ボランティアも期間中は「バブル隔離エリア内」にある宿舎で滞在するという。競技の違いはあれど、選手たちにとっては東京大会以上に厳しい五輪になりそうだ。
4日には、国内外の報道機関の拠点となるメインプレスセンターがオープンした。オミクロン株の蔓延もあり、記者らの行動はプレスセンターと競技会場、指定された宿泊ホテルとの往復に限られる。「柵の中」での大会が実現することで、各国メディアが一般市民に対し、人権や民主化への課題といった「余計な質問」をするリスクは消滅した。国内の情報管理をしたい当局者は胸をなで下ろしているかもしれない。
オランダ政府は「中国にスマホを持ち込まないで」
一方、オランダのオリンピック委員会は、自国選手団に対し、中国のスパイ行為を避けるため、個人所有の携帯電話やノートパソコンなどを中国に持ち込まないよう推奨したと報じられている。「中国の監視から自国選手の個人情報を守るため」とその理由を掲げており、とうとう選手個人にまで不自由が生じる事態になってきた。
オランダも「外交的ボイコット」に加わった国の一つだ。中国が日常的に行っているとされるさまざまなインターネット上の検閲や記事削除などの事情を考えると、自国の選手がなんらかのサイバー被害や妨害を受ける可能性を警戒するのは無理もない。
しかし、それぞれの選手には家族や親戚、友人そして多くのファンがいる。勝っても負けても五輪で戦ったその興奮をすぐにSNSなどで伝えたいだろうが、それがまったくできないことになる。