「おすすめ」フィードという革命

このようにTikTokが急成長を遂げた要因はいくつか考えられますが、最も大きな理由としては、やはり先ほど説明した「おすすめ」フィードの存在です。

この「おすすめ」フィードはフォローの有無に関わらずバラエティ豊かな動画が流れると先ほど説明しましたが、あまりにも自分の興味とかけ離れた内容のコンテンツばかりが流れたら、ユーザーは自然と離れていってしまうでしょう。

その点において、TikTokの「おすすめ」フィードに用いられているレコメンドシステムは非常に優秀で、ユーザーの視聴履歴などから、そのユーザーが興味のあるコンテンツをしっかりと予測し、その範囲を大きくずれることなくバラエティ豊かなコンテンツを見事にパーソナライズして配信します。

ユーザーは新たなコンテンツに出会いシェアをする

この「おすすめ」フィードは、新しいコンテンツとの出会いを創出します。

かつてテレビで音楽番組を見ていたとき、お目当ての人とは違う歌手の楽曲に初めて触れて、「こんなにいい歌があったんだ」と驚いた経験はないでしょうか。人は予期せぬ出会いに喜びを感じるところがありますが、TikTokの「おすすめ」フィードは、まさにそうした出会いが生まれやすくなっています。

そして、予期せぬいい出会いはユーザーの興味を広げます。例えば、TwitterやInstagramでフォローしている人だけの投稿をずっと見ていたら、フォローしている人への理解度は深まるかもしれませんが、興味の幅が横に広がることはそう多くありません。ですが、TikTokなら一定のユーザーへの理解を深めつつ、興味範囲自体も拡大していくのです。

若井映亮『ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識』(KADOKAWA)

また、テレビの音楽番組で新たなアーティストを発見したとき、翌日の学校で「昨日のあれ見た? すごくいい歌見つけちゃった」という会話をしていたように、TikTokで面白いコンテンツを見つけたらそれを人に紹介したいと考える人も多いのではないでしょうか。

もっとも、今では翌日の学校まで待つ必要はなく、LINEで友達に連絡したり、その場でSNSに投稿すれば情報は一気に世界中に広がります。実際、TikTokコンテンツは他プラットフォームでシェアされやすいという特徴もあります。

そうした動きをもたらす「おすすめ」フィードがあるからこそ、TikTokの拡散力は非常に高くなっています。

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