脳の「ケーブル」が強化される

脳はふたつの部分に分けることが出来ます。ひとつは灰色の物質(灰白質かいはくしつ)で出来ていて、もうひとつは白色の物質(白質)で出来ています。

アンデシュ・ハンセン『最強脳 「スマホ脳」ハンセン先生の特別授業』(新潮新書)

灰白質が外側にあり、大脳皮質と呼ばれる部分です。ここで複雑で高度な思考が生まれます。白質は灰白質の内側にあって、脳の様々な部分が上手くコミュニケーションを取れる(話し合える)ようにしてくれています。灰白質はネットワーク内にパソコンがいくつもあるような状態で、白質はパソコン同士をつないでシグナルを送るケーブルといったところでしょうか。

ゲームをする時に脳がどんな風に働くかを考えてみましょう。目と耳から視覚野と聴覚野を通じてひっきりなしに情報が送られてきます。脳はそれを理解し、どう動けばいいのかという指令のシグナルを手に送ります。それと同時にチームメイトと会話をしながら、情報を教えたりもらったりもします。それがまた新しい決定につながり、手や目に新しい指令を送ります。その間にもっと先のことまで考えて、次にどうするかという戦略を立て、さらにその先の戦略も立て……。

運動はこの灰白質と白質の両方を強めてくれます。ゲーマーにとっては白質の方がより大切かもしれません。ゲームの正念場で、パソコンとパソコンの間のケーブルが間違ってつながれていたり外れかけていたりしたら困るでしょうから。

なぜ白質、つまり脳のケーブルが運動によって強められるのかは分かっていません。ですがとにかく、強くなることははっきりしています。ゲームでもそうですが、結果がすべてなのです。

得点10%アップのテクニック

中学1年生を調査したところ、とても簡単なテクニックを使うだけでテストの成績が10%も上がることが分かりました。何段階かに分けて解くような問題のテストだったのですが、生徒たちの脳の前頭葉が活発になったそうです。特に作業記憶と集中力に大切な左側が活発になりました。

そのテクニックがどんなものだったかというと、座らずに立ってテストを受けただけのことでした。

しかしこの10%がゲームの成績にどれだけ影響を与えるでしょうか。1000点が1100点になるかもしれません。そんなに単純な話ではないかもしれませんが、確実に差は出てきます。

次にゲームをする時は立ってやってみてはどうでしょう。この本に書かれていたテクニックだったことを思い出してもらえれば光栄です。