過去の発想を引きずる日本は変化に対応できていない

サムスン電子は過去の経験にとらわれず、常に成長期待の高い分野にスピーディーに経営資源を再配分する。わが国企業はその発想を取り入れるべきだ。より踏み込んでいえば、まねるとよい。半導体業界では、1986年時点で世界のトップ10の半導体メーカーのうち6社がわが国だった。わが国では、総合電機メーカーや重電メーカーの一部門が半導体を製造した。その後、本邦半導体メーカーの競争力が失われた一因は、過去の事業運営の発想から脱却できなかったからだ。

わが国では世界経済の変化に対応できなくなった雇用慣行や意思決定の体制など、過去の発想を引きずる企業が増えた。そのため、わが国経済全体で見た場合に、自動車に代わる経済の大黒柱としての新しい産業が育っていない。

わが国企業が長期存続を目指すために、各社は自力で組織の変革を進めて、成長期待の高い分野で個人がより能動的に新しい発想の実現に取り組む経営風土を醸成しなければならない。構造改革によってメタバースなどへの対応力を高めようとするサムスン電子にわが国企業が学ぶ点は多い。

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