「気持ちの整理」には数年かかる場合もある

私の場合は、気持ちの整理がつくのに数年かかりました。最初の1年は、非常に感情の起伏が激しかったように思います。その後、フリースクールの友だちやスタッフといろいろなことを話していくうちに、少しずつ気持ちの整理がつきました。

気持ちの整理がつくというのは、学校や不登校、いじめといった言葉を聞いても、心にさざ波が立たなくなるということです。自分と他人を比較しなくなる、焦らなくなる、学校に行っていないことに罪悪感を持たなくなる、とも言えます。

このときは「自分はこんなことで悩んでいたんだ」「これが苦しかったんだ」「自分がやりたかったことはこれだったんだ」といった論理的な考えにはまだ至っていません。

石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)

渦中にいるときは、「学校なんて許せない」「いつかぶっ壊してやる」と思ったこともありました。その一方で、自分が学校に行って苦しむ夢を見続けたりもしました。精神的に苦しいときには、そういうことが起きるのですが、まわりの人たちに支えられ、認められるなかで徐々に穏やかになっていきます。

当時の私の言葉だと「今すぐ死のうとは思わなくなった」となります。その頃の私は、「自分なんてもうどうでもいいんだ」と思っていたので、いつ死んでもいいと思っていました。それが、「今死ななくてもいいな」と思えるようになりました。心が回復して、自分と折り合いがつけられるまでに、3年は要したと思います。

その間、私は学校には行きませんでしたが、学校に行く人もいます。学校に行くかどうかはゴールではないことも覚えておいてほしいと思います。

時間が長くかかったとしても、肝心なのは心の傷が癒えるかどうかです。段階を踏みながら、本人が気持ちの整理をつけて、成長していくということなのです。

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