感情を噴出させる時期は、そばにいてあげる

次に感情の噴出という時期に入ります。ものすごく甘える、突如として怒り出す、突然泣き出す。こんなふうに感情のコントロールができない状況になります。

まわりからすると心配になるのが、甘える、泣き出すといった行為です。小学校高学年でも、まるで赤ちゃん返りしたかのように甘える人もいます。フラッシュバックが起きたように泣くこともあり、コントロールできません。小学校6年生の男の子が、「自分でもイヤイヤ期みたいだったと思う」とこの時期について話すのを聞いたことがあります。

こんなふうに感情が噴出しているときは、そばにいて、子どもの揺れる感情につきあうしかありません。とても大変ですが、子どもの苦しんでいる気持ちにつきあうことで、愛情がしみていき、心の傷が癒されていきます。

母親と一緒にキッチンに立って調理する少女
写真=iStock.com/kohei_hara
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自分に起きたことを言語化する

その次にようやく、自分に起きたことを言語化する時期がきます。最初は、インターネットで見た話だったり、以前に自分に起きたことだったり、まったく脈絡のない話をします。

たとえば、幼い頃に、スーパーでほんのちょっとはぐれたという話を、「あのとき僕は置いていかれた」と言って急に泣き出すようなこともあります。そうしてたくさん話をしたあとに、学校で起きたことを話すようになります。

その話は、とても長くて回りくどいかもしれませんが、最後まで聞くしかありません。子どもはアドバイスがほしくて話しているのではなく、ただ気持ちの整理をしたいだけなんです。

言語化が終わると親離れする

言語化の時期が終わると突然、親離れ、支援者離れします。親から離れるのをいやがっていた小学生ぐらいの子も、友だちと過ごす時間を優先するようになります。

この回復のプロセスは、必ずしもスムーズに移行するわけではなく、いったりきたりします。もちろん個人によって違いますが、こういった心理状態のプロセスを経るということが、臨床的にもわかっているそうです。

実際に、多くの経験者から話を聞いてみても、だいたい似たような経過をたどります。これは不登校だからではなく、PTSD(心の傷)において起こるものです。

このプロセスは、赤ちゃんから思春期を経て大人になっていく過程にも似ています。学校で受けた傷を、多くの人は、学びや成長の糧のひとつにしている、とも言えると思います。