スタートから合格までのイメージを持っておく
最後に6年生の学習だ。1学期はこれまで学習したことの総復習を行う。そして、夏以降は演習が中心となる。これまで学んできたことの再現性を高めていく学習に変わる。秋以降、やるべきことは、過去問演習だ。ここからは塾の成績から切り離して、志望校に合格するための勉強に切り替えていく。目指すのは高得点ではなく、合格者平均点に到達することだ。
6年生の9月から続いた合格判定模試も、12月を最後に終了する。最後の模試で、合格可能性が30%なんて数字が出ると、もう受からないのではないかと不安にさいなまれるだろう。だが、合格可能性が20%より上ならまだ合格を目指せるラインにいることを知っておいてほしい。もう一度、言う。中学受験で合格できるかどうかは僅差なのだ。
そして、何よりも今見るべきものは、模試の結果ではなく、過去問で合格平均点に到達しているかどうか。まだ足りないという場合は、どの教科であと何点取れば合格平均点に到達できそうか、しっかり考えてみることだ。
「ダメなら公立でいい」はお勧めしない
中学受験をスムーズに進めていく方法は、3年間のロードマップを把握しておくこと。そして、「うちの子はここでつまずきそうだな」「うちの子だったら、なんとかなりそうだ」と、その都度、わが子の成長と照らし合わせながら、事前に対策を考えておくことだ。そうやって、合格までの長い道のりをイメージできる親は、直前期で焦らないし、本番にも強い。親が焦らなければ、子供も落ち着いて、目標に向かって頑張ることができる。
すでに受験を目前に控えている受験生は、とにかく今は合格平均点に近づく努力をすること。それが難しそうなら、第一志望校は思い切りチャレンジしてもいいから、第二、第三志望校に現実味のある学校を選択しておくことだ。
「ダメなら公立でいい」という親は少なからずいる。特に父親にその傾向がある。しかし、私は全落ちだけは避けるべきだと考える。中学受験で挫折感が残ると、中学に入ってから反抗期も始まって、親子の関係が悪くなったり、勉強嫌いになったりするケースが非常に多いからだ。中学受験は人生のゴールではない。その先、わが子を伸ばしていくには、この学校がベストな環境だと信じて、挑戦するものだ。たとえベストは叶わなかったとしても、ベターな環境は考えておくべきだ。
最後は「あなたなら大丈夫」の一言を
わずか12歳の子供が挑戦する中学受験は、最後まで何が起こるか分からない。当日、慌てないためにも、事前に入試当日の動きをイメージトレーニングしておくことを勧める。そして最後に、子供に自信を与える声かけをしてあげること。「あなたなら大丈夫!」、その一言でいい。そうすれば、どんな難問を前にしても、「まずは問題文をきちんと読んでみよう。読んだら何かヒントが見えてくるかもしれない」と一歩踏み出すことができる。「丁寧に問題文を読めば、解けるかもしれない」、そう思えるかどうかが、合否の分かれ目となる。最後の合否を決めるのは、子供自身が合格をイメージできるかどうかなのだ。