売却資金を本部建て替えにあてる計画

しかし、日本経済新聞(2021年1月7日)によると、地銀協は、この合同研修所を売却する検討に入ったという。同研修所は築40年程で、2030年代半ばまでに20億円近くの補修費が必要となる見込みながら、コロナ禍の影響もあり、加盟行から集める利用料で補修費を賄えない見通しになったからだという。

実際、2019年度の稼働率は25パーセント程度にとどまったようだ。地銀協は、この合同研修所を早期に売却し、地銀協の本部を建て替える場合には、この売却で得られる資金もあてる計画だという。

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大手地銀を中心に豪華な研修施設が続々誕生

地銀協による合同研修所の売却の裏には、老朽化やコロナ禍のほかに、実は、別の大きな理由がある。それは、大手地銀を中心に、自前で巨大な豪華研修施設が続々と誕生しているからだ。

人口減少と低金利下で、構造不況業種といわれ、政府や日銀による圧力もあり、地銀再編が叫ばれ、店舗や人員のリストラが進行しているにもかかわらず、豪華な研修施設の新設とは、本店・本部の新築ラッシュと併せ、なんとも驚くばかりだ。

特に、地銀の「3大豪華研修施設」として、静岡銀行「研修センター」、京都銀行「金融大学校桂川キャンパス」、西日本シティ銀行(福岡市)「ココロ館」が挙げられる。

地銀協の会長行でもある静岡銀行の研修センターは、新本部棟の南側にある8階建てで、360名を収容できる大会議室や、営業店を模したフロア研修室などを備えている。また、200名以上を収容できる宿泊室や、利便性と快適性に配慮した食堂・カフェ・休憩スペースを併設し、「従業員の成長と満足を実現する施設」「さまざまな人材交流を実現する施設」として活用しているという。