みずほFGでは、人事評価の中に共通評価軸と呼んでいる5つの行動規範があります。1番目は「お客さま第一の徹底」、2番目が「変革への挑戦意欲」、3番目として「合理的で公正な行動」で、4番目には「スピードの重視」、最後の5番目は「主体的で責任ある行動」です。
私は「顧客志向」「現場志向」「未来志向」といっていますが、特にお客さま第一主義をよく理解して実践できる人材、変革を恐れない人材が、これからますます重要になります。逆にいえば、自分たちの理屈で凝り固まってお客さまと接するような人は遠慮したい。
また、新しいことが起きたときに、従来の仕事の仕方、商品、サービスでは対応しきれないことが当然出てきますが、そのときに、往々にしてなぜできないかの説明をしがちな人が多い。しかしながら、物事に対して“いかにしたらできるか”と、前向きにとらえてほしいわけです。いくら理路整然と「こういう理由でできません」といわれても、何の足しにもならない。言い訳をしない人が欲しいのです。
組織としてできることは何でもします
みずほFGへの応募者は、相当な意欲を持った人が多いと実感しています。とはいえ卒業の時点では、社会人としての自覚を持って前向きに進める人ばかりではありません。学校任せでは駄目なのです。企業が採用した人をしっかり教育していかないと、国際競争の中で日本は負けてしまいます。
日本もこれだけ豊かになると、ある意味で満足感や充足感が出てきます。そうした中で、さらに鼓舞し、あえて大変なことに挑戦しなくてもいいんじゃないか、今日楽しければいいんじゃないかというモメンタムが出てくる。成熟国としてはやむをえずとしても、企業としてはそれは許されません。
逆に、組織内で働いている人がいかに前向きに「よし、やってやろう」「お客さまがいうのだったら地の果てまでも行ってやろう」という意欲を持てるようにするか、採用した人をいかに育成するかが、経営陣の使命だと考えています。具体的には、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで上司の背中を見て学ぶという側面を重視しています。つまり私をはじめ上に立つ者は全員、お客さま第一主義の姿勢、あるいは変革に挑戦し続ける姿勢を見せ、全組織に浸透させていく必要があるのです。