見下す義父と支配したがる義母、夫は「年寄りの戯言を聞いてやって」
当時、58歳で大手製造業の会社の課長を勤めていた夫の父親は、鳥越さんの高卒という学歴を蔑んだ。53歳の夫の母親は、自分の実家のほうが鳥越さんの母親の実家より格が上だと言い、鳥越さんに見下した態度を取り続けた。
義母はさらに、わざわざ2時間かけて鳥越さんの家にやってきては、「子育て中はスカートはダメ」「主婦にピアスは必要ない」「ヒールは贅沢品」などと言って、鳥越さんを自分のルールの中に閉じ込め、がんじがらめにした。
「普段の私は、年齢や立場だけで押し切る人に対して意見が言えるのですが、義母には逆らえず、言いなりにさせられてしまうのです。それがなぜなのか、自分でもわかりませんでした」
夫には弟が2人いるが、義母は上の弟の嫁である義妹には一切口出しせず、実家のことを手伝わなくても何も言わないどころか、「義妹ちゃんだから、しかたない」と言う。
義妹は結婚後、義母が「婿にとられた!」と愚痴るほど夫の実家に寄らなくなった。そのため、あまり口出しして嫌われると、全く実家に寄らなくなってしまうのを恐れたのかもしれない。
鳥越さんは義母から、「主婦は髪を下ろしちゃダメ」と言って、無理矢理美容室に連れて行き、ボブに切られたこともあった。にもかかわらず、義妹はゆるふわパーマのロングヘアに、きれいに塗られたマニキュア。家事には邪魔になる、フリンジたっぷりのボヘミアンブラウス……。
「気づけば私は、一本結びにした髪。汚れてもよく、動きやすいパーカー。膝の柔らかなスキニーパンツ。よくよく考えれば『私が全てやりますよ』と表明しているような服装を、私は自分から選んでしまっていました」
鳥越さんが夫に抗議しても、「年寄りの戯言だから聞いてやって」と言って庇うのはいつも義母のほう。
さらに義母は、自分の息子が結婚してから、鳥越さんに、最低限の生活費と医療費しか渡していないのを知っていながら、何も言わない。鳥越さんは、髪を切るのも自分で切ったり、知り合いに頼んだりしていたが、そうそう知り合いに頼んでもいられず、時々美容室に行った。だが、そのことを義母は誰かから聞きつけると、義母は夫に告げ口。すると夫は、「俺のやり方に文句があるのか」と言わんばかりに荒れ狂い、壁に穴を開けたこともあった。
ただ幸いなことに、義両親は、孫たちはかわいがってくれた。人見知りが激しかった次女はそこまでではなかったが、長女は服やおもちゃを大量に買い与えられ、まるでお姫様。そしてそれは、鳥越さんの両親のほうも同じだった。