「政治に関心のない若者層」が求めているのは景気対策
また、各メディア共同での出口調査の結果では、おおむね若い世代の人たちは景気対策(約20%)や子育て・教育問題(約30%)が、中高年では景気対策(約24%)、コロナ対策(約15%)、安全保障問題(約14%)と並びます。
国民の関心事とはある種の生活保守が第一であり、景気・雇用と共に、年金医療介護などの社会保障問題は高齢者の、教育育児は若者の関心事項であり、すべてのウイングに広がらなければ多くの世代から政党は支持を受けることができないのだという証左となります。
ところが、投票率を引き上げようとする場合、有意に投票率の低い30代以下の若者を投票所に連れていかなければならないわけですが、政治無関心層(≒投票に行かない人)は政治に求めることはおおむね景気対策(44%)が突出しています。
他方、もしあなたが(19年参院選において)投票するならば強いて言えばどこに投票しますかと更問をしますと、自民党約44%、立憲民主党約25%、その他・諸派約18%の順になります。
なぜかここで顔を出すのがN国党。すなわち、投票を促したい「政治に関心のない若者層」はおおむね現状に満足しているようで、特に政治に期待することはなく、もしも投票するのであれば「見たことのある候補者」に入れる傾向が強いため、駅前で街頭演説をやったり、商店街や集合住宅前で足しげくどぶ板をやっている候補者のほうが圧倒的に強くなるということの裏返しでもあります。
30代以下の無党派層の5割が自民党に投票している
また、余計なことですが、若者たちのグループインタビューでは「自分たちのやりたいことに理解を示してくれる候補者に入れる」という声がよく聞かれます。
ある若者のグループでは、インタビューにおいて「駅前の駐車場の一角をスケートボード利用可にしてくれた公明党区議を支持」していたり、いままで一度も選挙に行ったことがなかった30代の複数の男女は具体的にマンガ表現規制などで戦った参院議員・山田太郎さん(自民党)の名前を具体的に挙げて「投票に行った」と回答しています。
動物愛護で著名な活動をしていた参院議員・塩村あやかさん(立憲民主党)の名前を挙げた20代女性も複数いましたが、本来の意味で、イシューとして寄り添う政治家がこれらの無党派や投票に行かない若者たちを掘り起こし、政治的関心を呼び起こし、投票所へ向かわせるのだと言えます。
そして、これが本来の政治であって、より広い意味での生活保守的な日本人有権者の考え方が加味されて無党派層の投票行動が決定していると言っても過言ではありません。
政治に関心のない人が投票所に行けば無党派層として野党に票を投じてくれるだろうという幻想は、今回の選挙でも30代以下無党派層は全国で50%強が自公与党に投票しているという事実と共に打ち砕かれます。