2014年度から6年連続で公務員の月給引き上げを求めてきた

人事院はこれまで、民間賃金は伸びているとして、2014年度から6年連続で公務員の月給引き上げを求めてきた。今年については、人事院は4月の公務員月給は40万8868円で、同じ月の民間給与と比較した場合、公務員が0.04%(164円)上回ったが、格差が極めて小さいので、改定の必要はないとしたという。

勧告を遅らせて調査をしたにもかかわらず、新型コロナの影響がまだ給与面には出ていないと思われる4月を基準にしたのだ。その後、民間企業の給与が下がっていくことは容易に予想されたはずだが、そこはあえて見ずに済ませたということだろう。

ちなみにボーナスがカットされたことによって、平均年間給与は2万1000円減って673万4000円(平均年齢43.2歳)になるという。0.3%の減少にあたる。ちなみにこの平均には高給の幹部職員は含まれていない。「霞が関の縦割り打破」などを掲げて、一見公務員に厳しい姿勢で臨むように思われた菅義偉内閣も、あっさり、この人事院勧告を受け入れた。

失業リスクがある分、民間給与は高くて当たり前

この民間からみれば甘々の「ボーナス0.05カ月分削減、月給据え置き」についても国家公務員の間からは不満の声が聞こえる。「新型コロナと戦うエッセンシャル・ワーカーであるわれわれのボーナスが減らされるのは納得がいかない」というのだ。その気持ちも分からないではないが、厳しい状況に直面する民間企業の従業員からみれば、うらやましい限りの「公務員天国」であることは間違いない。

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今、ANAに限らず民間企業では、「失業の恐怖」に直面している人が少なくない。今のところ非正規雇用者が「削減」の対象で、現状の統計では正規雇用者は増えている。だが、多くの企業が「希望退職」の募集などを打ち出しており、来年に向けて職を失う人が正規雇用でも増えてくることになりそうだ。

まさにANAをひとごととは思えない人たちが増えているわけだ。一方で、国家公務員は身分保障があり、失業とは無縁だ。本来、失業リスクがある分、民間給与が高くて当たり前なのだが、今はむしろ逆になっている。

本来、国は、深刻な財政赤字に陥っているのだから、給与削減に努めるのが普通だろう。アベノミクスによって税収が増え、バブル期を上回ったが、それを良いことに給与を増やし続けてきた。国は借金返済よりも人件費を含む歳出の拡大に動いたのだ。