一気に増やすのなら自毛植毛

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薄毛・抜け毛が改善できたら、生活がどう変わるか?

アメリカのFDA(食品医薬品局)で医薬品として認められているのは、このフィナステリドのほかにミノキシジルがあります。ミノキシジル(製品名リアップ×5)は毛乳頭細胞に働きかけてアデノシンを分泌させ、細胞増殖因子の産生を促すことで効果を示すと言われています。頭皮に塗る外用薬のリアップ×5と服用薬のプロペシアでは作用機序が違うため、併用に問題はなく、相乗効果が期待できます。一般的に皮膚科医は、まずプロペシアを処方し、財布に余裕がある患者には、市販薬のリアップ×5の併用を勧めます。

ただし、プロペシアもリアップ×5も即効性はありません。本人が効果を実感できるのは最低でも半年、第三者も含めて「ああ、効いてるな」と実感できるには1年は使い続ける必要があります。

「一気に毛を増やしたい」という人の薄毛解消法としては、10年ほど前から日本でも盛んに行われるようになった自毛植毛があります。後頭部や側頭部など脱毛していない部分の皮膚から毛をつくりだす毛包単位で脱毛個所に移植する手術です。移植した毛包は、元来あった場所の性質を持ち続けるので、脱毛を促すDHTの影響を受けない後頭部や側頭部の毛包は、どこに移植されても硬いままの毛を保つことができるのです。

植毛手術の費用は移植する本数にもよりますが、100万~150万円ぐらい。これで一生抜け毛を気にしないで済むのなら「高くない」と感じる人もいるでしょう。フィナステリド治療に比べても、トータルの治療費はそう変わりません。フィナステリドは保険適用外のため、診察料などを加えると、1カ月で1万円前後かかる。1年飲み続ければ10万円から12万円。45歳から服用を始めて65歳まで続けると200万円を超え、費用的には植毛手術といい勝負。まずは正しい知識を持った医師に相談してみることです。

※すべて雑誌掲載当時

(吉田茂人=構成 熊谷武二=撮影)