iPhoneが1台も売れなくても黒字になる

Appleはプロダクト事業とサービス事業の2つのセグメントの財務データを開示しており、それぞれの数値を比較すると収益性の違いがはっきりとわかります。

iPhoneやMacのような製品を製造して販売するプロダクト事業は、ビジネスの特性上、どうしても原価率が一定額発生してしまうため利益率は高くなりにくいです。一方で、サービス事業はApp storeやApple Careといった無形の商材が中心となり、利用者が増えるに連れて収益性が大きく向上します。

図表=筆者作成

近年大きく拡大しているサービス事業ですが、今期より、ついにサービス事業の収益のみでも黒字となる規模まで成長しています。つまり主力商品であるiPhoneが1台も売れなくても黒字になるということです。

サービス事業では、近年ゲームやフィットネス等の多数の課金サービスを取り揃え、複数のサービスを利用するユーザーが大きく増加しています。このように、ユーザーの囲い込みにも成功しており、今後もサービス事業はさらに拡大していくと思われます。

図表=筆者作成

順調に見えるAppleにも懸念点が

以上、GAFAの決算数値の比較からの、Appleの最新決算の解説でした。

一見、順調に見えるAppleですが、懸念点も存在します。新型のiPhone等が発売される期は売上高が大きくなるなど業績の振れ幅が大きい企業です。また、スマートフォン市場は年々競争が激しくなっているのみならず、半導体不足の懸念もあり今後も安定して収益を生み続けられるとは限りません。

そのような意味でも、通年を通して安定的に売上高を生み出すサービス事業は、引き続き成長するために非常に重要な位置付けとなっています。

今後、このサービス事業がどこまで拡大していくのかが、Appleの決算を見る際に非常に重要となります。

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