Amazonは利益よりも現金重視

最後はAmazonの決算数値についてみていきましょう。Amazonの売上高の内訳を見ると、ECやAWS、サブスクリプションと様々な収益源を有していることが読み取れます。それでも、全体の約7割はEC事業から収益を生み出しており、損益計算書は小売業に近い形となっています。

Amazonは自社で商品を仕入れてユーザーに販売するOnline stores事業と、外部の第三者がAmazonに出品し手数料を徴収するTherd party事業の2つのEC事業を展開しています。外部の第三者から手数料を取るThird party事業は、Amazonが商品を仕入れているわけではないため、原価率は大きくなりにくいビジネスです。

一方で、自社で商品を仕入れて販売するOnline stores事業は、商品の仕入コストが原価に計上されるため原価率が大きくなりやすい傾向があります。売上の約半分がOnline stores事業の売上で構成されていることもあり、損益計算書全体として原価率が大きい数値となっています。

また、自社で倉庫や物流設備等の多額の設備を有していることからも、物流コストや減価償却費が多額に発生し、その結果営業利益率は6%程度となっています。Amazonは従来から、利益よりも現金を重視する企業であり、利益率はGAFAの中でも最も小さくなっています。

Amazonの売上高
図表=筆者作成

5G対応でiPhoneの売上が大きく増加

それでは、ここからは本日のテーマ企業であるAppleの2021年6月期の最新決算を深堀りして見ていきます。

Appleの売上高は、上述の通りプロダクト事業とサービス事業の2つの事業セグメントで分けられて開示されています。プロダクト事業に関しては、さらに、iPhone、Wearables、Mac、iPadと分けられています。

Appleの最新決算数値
図表=筆者作成

2021年6月期の決算を見ると、iPhoneの売上高が大きく増加し、全体の売上高を引き上げています。背景にあるのは、Apple初の5G対応機種である「iPhone12」シリーズの発売です。

5G対応への高い需要が存在し、iPhoneの買い替えのみならず、他社デバイスからiPhoneへの移行の動きも強く、その結果としてiPhoneの売上高が大きく上昇しています。

iPhoneセグメント
図表=筆者作成

また、Appleのサービス事業も2021年6月期決算にて過去最高益を更新しています。近年右肩上がりに増加しているサービス事業ですが、サービス事業の成長に伴い、Appleの粗利(Gross margin)と営業利益(Operating income)も年々向上しています。

収益性が年々向上するApple
図表=筆者作成