いろいろ工夫しても「本当に売れるのか心配でした」

「檸檬堂」の特徴は、他にもある。ネーミングや商品パッケージだ。

「レモンサワー専門ブランドとして、商品名はいろいろ考えました。最終的に日本の酒場文化も伝えたい思いで、漢字の商品名を採用。パッケージも古くて新しいレトロモダンにしようと、文字にも工夫。缶の色は酒屋さんの前掛けをイメージするなど、人のぬくもりを感じるデザインにしています」

あらためて見てみると、随所に工夫された和風のデザインだ。清涼飲料で日本市場を熟知しているとはいえ、これを外資系のコカ・コーラ社が手掛けたのが興味深い。

「勝算はあったのですか?」と聞いてみたが、「本当に売れるのか心配でした。九州で限定発売した後は、『他の地域でも飲みたい』という声も多く、手ごたえを感じましたが」と関口さんは正直に明かす。ちなみに九州地区での先行販売は、前述の前割り焼酎の文化があるから選んだのではなく、テストマーケティングの地域として適正の人口規模だったとか。

撮影=プレジデントオンライン編集部
開発にあたっては都内の居酒屋を何十軒と回り、さまざまなレモンサワーを調査してきた

「檸檬堂」は全国発売3年目の2021年も好調だ。2019年の全国発売から2021年9月末時点では115%となっている。

※出典:インテージSRI+,低アルコール市場,累計販売金額,2020年10月-2021年9月前年同期比/7業態計(SM、CVS、HC、DRUG、酒量販店、一般酒販店、業務用酒販店)

第2弾はあまり飲まない人へ「レモネードのお酒」

今年6月21日から第2弾として「ノメルズ ハードレモネード」というブランドで3種類の商品を全国発売した。ハードレモネードとはレモネードにアルコールを加えたもので、米国では人気だという。こちらもレモン果汁+アルコールという商品設計だ。

撮影=プレジデントオンライン編集部
レモネードにアルコールを加えた「ノメルズ ハードレモネード」

「米国西海岸では住宅街の家の外で、子どもがレモネードを1杯=1ドルや50セントで売るなど、カルチャーとしてなじんでいます。ハードレモネードの『ノメルズ』はそんな文化も感じられるよう、パッケージにはフードトラックがデザインされています」

果汁とアルコール濃度は商品によって異なり「ノメルズ ハードレモネード オリジナル」(アルコール分5%、果汁20%)、「ノメルズ ハードレモネード サワー! サワー! サワー!」(同5%、14%)、「ノメルズ ハードレモネード ビターサワー」(同7%、8%)となっている。低アルコールだが、微アルではない。

実際に買って飲むと(当たり前だが)レモネードの風味がしっかり感じられた。パッケージは、日本で最初の“西海岸ブーム”が起きた1970年代後半の世界観だった。

「アルコールは好きだけど、普段はあまり飲まない、あるいは1杯だけ飲むような人。そうしたお酒初心者にも訴求しています」

欧米には「ソバーキュリアス」(Sober Curious)という層がいる。飲めるけど飲まない(少ししか飲まない)という生き方だ。日本でも若者を中心に受け入れられている。