家賃が払えず家を追い出され、食べ物もない

多くの場合、お金が出ていく先がある。具体的にいうとホストや地下アイドルで、貢ぐことが生きがい、生活のすべてになっています。昼職で稼ぐ以上のお金が必要です。

多数派の女性は風俗と掛け持ちするか、街娼のみかです。なかでも街娼のみの女性は、切実な問題を抱えているケースがあります。

一つは、家賃が払えずに部屋を追い出されている場合です。友達の家やネットカフェに泊まれれば、まし。お客さんにホテル代を朝まで払ってもらい、そこで過ごすこともある。お客さんへの依存度が高くなると、避妊をしてもらえないなどのリスクが生まれます。

もっと深刻になるのは、街娼としてお客が取れなくなった時です。食うに困ることになります。「朝から何も食べてないから、お金を貸してほしい」「お腹空いてしんどいから、ご飯おごって」。こんなLINEをもらっています。

こういうケースは、身体を売って解決できる状態を超えています。

彼女たちが生活保護を受けない理由

——そこまで追い込まれている彼女たちは生活保護を受けることは考えないのでしょうか?

非常に残念なことですが、皆さん「生活保護受給は恥だ」と考えています。その考えを改め、まっとうな権利だと伝えることから始めています。

また、親族への扶養照会(※)を嫌がります。身体を売る選択をした彼女たちは、さまざまな事情を抱え、1人で生きることを決断しています。それなのに「仕送りできませんか?」「援助できませんか?」と家族や親戚に聞かれるのは、耐えられないのです。

生活保護につなげられた女性は、1人にとどまります。苦境ぶりからすると、さらに数人はいてもいいはず。生活保護受給へのハードルは高いと言えます。

※生活保護を申請するに当たり、自治体が申請者の3親等以内の親族に金銭的援助ができないかを問い合わせること。

筆者撮影
歌舞伎町に足を運ぶ人々

——ここの女性たちが必要としているものは何なのでしょうか?

私も手探りで活動しています。ともかく話を聞ける関係性を作らなければいけません。私のような、いかついおじさんが、年下の女性と信頼関係を作るには3、4回は会わないといけない。

信頼関係を築き、支援につなげれば終わりではありません。

不安定な仕事についている方や離職して住居をなくした方をサポートする、東京都の制度があります。この前、ある女性がこの制度を利用しました。就労支援を受けるまでには至ったのですが、数カ月すると、ここに戻ってきてしまった。

継続的なフォローが必要だと感じました。NPOの体制充実や歌舞伎町での拠点作りなどに励みたいです。