最終的な回避操作は、ドライバーに委ねられる
試乗したテストコースでは自転車に見立てたダミーを自車トラックの左側で走らせ、交差点を左折するシーンを再現した。
左側にダミー自転車を発見するとすぐさま左Aピラー(車内左前の助手席側にある柱)部分のLEDランプが点灯、そこから自転車との距離が狭まると警報ブザーで報知、そのままウインカーを操作して左にステアリングを操舵するとブレーキ制御が介入し、接触事故を抑制する。このとき車両はブレーキを弱めず停止を保持し二次事故を防ぐ。
ブレーキ制御が介入するとはいえ、プロフェッショナルドライバーが運転する大型トラックであることから最終的な回避操作はドライバーに委ねられシステムは急ブレーキを行わない。
「急ブレーキは積荷にも負担がかかり荷崩れの原因にもなることから、衝突を回避するために最低限のブレーキ制御に留めた」と前出の技術者は言う。
新技術の二つ目「アクティブ・ドライブ・アシスト2」は、これまでの「アクティブ・ドライブ・アシスト」に「車線内停止型のドライバー異常時対応システム」を追加したもの。
固有名詞ばかりなので、まずはアクティブ・ドライブ・アシストの説明から。この機能は、前出のACC機能とLK機能を組み合わせた先進安全技術だ。アクセル&ブレーキ操作とステアリング操作にアシストが入ることから自動化レベル2の段階で、2019年からスーパーグレートには実装済み。
ドライバー異常時には、車線を維持して停止
EDSS(Emergency Driving Stop System)とも呼ばれる「ドライバー異常時対応システム」は、国土交通省が2016年3月に世界で初めて示したガイドラインで、2018年には第一世代である「単純停止方式」を日野自動車/いすゞ自動車の大型観光バス「セレガ/ガーラ」が商用車として世界で初めて実装した。
今回スーパーグレートが実装した「車線内停止型」は第二世代にあたる。ドライバーが運転継続できない状態での「緊急停止機能」に、直線やカーブを問わず車線を維持しながら停止する「車線維持機能」を追加したドライバーサポート技術だ。
現在、EDSSはさらに発展。車線を維持しながら周囲の交通状況に応じて路肩へ自動車線変更し停止する「路肩停止方式」へと昇華された。第三世代のEDSSはホンダの上級セダン「レジェンド Honda SENSING Elite」、トヨタの燃料電池車「MIRAI Advanced Drive」に実装されている。