「失敗したらどうしよう」と思うと失敗する

私は、けっして図太い人間ではありません。けれども、なぜか「どんな場面でもまったく動じない人間だ」と思われています。図太くなくても、物事に動じない。これが両立できるのは、なぜでしょうか?

それは、私は物事を論理的に考えることができているからです。

まず簡単に説明してみましょう。まず、メンタルが弱い人の心の中を、私が代弁してみます。

「もし失敗しちゃったらどうしよう……」
「そうならないように、絶対に失敗しないように頑張ろう」
「失敗しちゃダメだ、失敗しちゃダメだ……」
「……不安で集中できない、いつも通りの力が発揮できない」
「やっぱり失敗してしまった……私はダメな人間だ……」

ちょっと誇張して言ってしまいましたが、多かれ少なかれ、こういう不安や自信のなさで悩むこともあるのではないでしょうか。

こういう人は、失敗はあってはならないものだと考えています。そのために「失敗したらどうしよう」という不安で押しつぶされてしまいます。

そもそも「絶対に失敗しない」なんて、「絶対に無理」です。それに、このようにメンタルが揺れていては、本来の力を発揮することはできず、失敗する可能性も高まってしまうでしょう。

「絶対に失敗しない」なんて「絶対に無理」

では、論理的な人は、どう考えているのでしょうか。私が代弁してみましょう。

「この件はおそらく、40%くらいの確率で失敗するだろう」
「失敗は十分にあり得るし、そうなったらもう仕方がないな」
「今回の成功率は60%だが、どうしたらこの確率を引き上げられるだろうか」
「……少しアプローチを変えると、70%くらいまで成功率を上げられそうだ」
「30%の確率で失敗するが、その場合のリカバリープランも考えておこう」
「さあ、失敗するかもしれないけど、いつも通り淡々とベストを尽くそう」
「どうやらうまくいったようだ。気負わずにできたからかな」

論理的に考えれば、「絶対に失敗しない」なんて、「絶対に無理」なのです。金メダル候補の超有力選手が、予選落ちすることもあれば、無名のアマチュア選手が、名だたる強豪を抑えて頂点に立つこともある。

成功も失敗も、めったに起きないハプニングでさえも、一定の確率で起こりうる。何が起きても、驚くべきことではありません。これが、私の言う「確率思考」です。