発言がスルーされてしまう人は何がダメなのか

第2位は、ストーリー仕立てで「言葉力」が身につく『「スルーされない人」の言葉力』でした。

ひきたよしあき『「スルーされない人」の言葉力』(大和出版)

同じようなことを言っていても、「もっと話を聞かせてよ」と言われる人と、スルーされてしまう人がいます。両者はどこが違うのでしょうか。本書を読めば、その違いを理解するヒントが見つかるでしょう。

主人公は、大手スーパーマーケット「ダイワ・フーズ」に勤めるバイヤー、中田晴。売れそうな食品や食材を見つけ、商品として店頭に並べるのが仕事です。生産者との交渉や社内プレゼン、販売方法の立案などといったあらゆる場面でコミュニケーション力が求められるのですが、話すのが苦手で、発言をスルーされてしまいがちという悩みを抱えています。

そんな晴のところに、救世主・エドが現れます。エドは、晴が子どものころに飼っていた愛犬。晴の言葉力をアップさせるべく、過去から戻ってきれくれたのです。

まずエドは、晴の発言には「私」という主語がないため、どこか人ごとのように聞こえてしまうと指摘します。翌日の会議で、エドのアドバイス通りに発言してみた晴は、周囲の人が自分の発言に耳を傾けてくれていることに気づくのでした。

このように本書では、ストーリー形式で、人を動かす言葉の編み出し方が紹介されます。話すのが苦手な人はもちろん、文章力や資料作成力を上げたい人にとっても、読んで損のない一冊となっています。

「言葉のプロ」が後輩指導で使う表現

第3位には、日本テレビの報道番組「news every.」の藤井貴彦キャスターの著書『伝える準備』がランクインしました。20年超のベテラン、まさに「言葉のプロ」である藤井キャスターは、どのような「伝える準備」をしているのか。その秘密が明かされる一冊です。

藤井貴彦『伝える準備』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そのうちの一つが、後輩など助言を求める人への「伝える準備」です。藤井キャスターは普段から後輩たちの仕事を観察し、「アドバイスを求められたらこんなことを伝えてあげよう」とメモしておく習慣をもっているのだといいます。

藤井キャスターが準備しているのはこんな言葉。「あと少しで合格」「もっとやれる人だよな」「気持ちは十分見えた」「いい時と比べると、惜しい」「納得したくないだろ」「今日が大舞台じゃなくてよかった」……こうした表現なら、言われたほうも前向きな気持ちになれて、素直に改善に向けて歩き出すことができるでしょう。

本書ではこのほかにも、藤井キャスターがいかに自身と向き合い、真摯に「伝える準備」をしてきたのかがわかるノウハウが多く紹介されています。あなたも本書を参考に、自分の伝え方をブラッシュアップしてみてはいかがでしょうか。