BPOの「意見」や「勧告」を受けて、MXは3月末で「ニュース女子」の放送を終了。放送から1年6カ月余り経った7月になって、ようやく伊達寛社長が辛共同代表に直接会い、「真実性や人種、民族に関する配慮を欠いた表現があった」として謝罪した。

しかし、DHCテレビジョンは、当初の主張を譲らず、放送終了後もネットの自社サイトで番組を流し続けた。

このため、辛共同代表は、番組を制作したDHCテレビジョンと司会の長谷川氏を相手取り、「名誉を棄損された」として提訴したのである。

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司法が「ニュース女子」を断罪

それから3年。

東京地裁が下した判決は、「名誉棄損による550万円の支払いと、ウェブサイトへの謝罪文の掲載」だった。辛共同代表の実質勝訴である。

大嶋洋志裁判長は、「ニュース女子」の当該番組について「原告に真偽を確認するための裏付け取材をしていない。精神的損害は重大」と断じた。

判決は、「のりこえねっと」が、航空機代5万円を支給して沖縄に「市民特派員」を派遣していたのは「反対運動の現状を発信してもらうのが主目的で、反対運動をあおる目的とは認めがたい」と判示。反対運動についても、「テロリスト」などの表現で「ことさらに危険性の高い暴力が直接身体に加えられる可能性を強調し、視聴者に印象づけている」と指摘した。

そのうえで、番組が「反対運動で過激な暴力による犯罪行為を、辛さんが経済的に支援してあおった印象を与えた」と認定、「番組の重要な部分で真実性が証明されていない」と結論づけた。

「沖縄ヘイト」や「コリアンヘイト」を前面に打ち出した「ニュース女子」が、司法によって断罪されたのである。

ただ、長谷川氏に対する賠償請求は「番組の企画・制作に関与していない」として棄却した。

「もっとも悪質なフェイクニュース」

判決後に会見した辛共同代表は、「画期的な判決で、番組自体に問題があったことが明確になった」「番組は、沖縄の平和運動を愚弄する、もっとも悪質なフェイクニュースだった」などと語った。

また、番組をきっかけにSNSなどで誹謗中傷を受け続けたことに対して「むごいものだった」と、あらためて怒りをあらわにした。

弁護団の佃克彦弁護士は、「ほかの名誉棄損訴訟と比べて、550万円という賠償額はきわめて高い。謝罪文を認めたのも異例だ」と、判決を高く評価した。

名誉毀損による慰謝料額の相場は10万~50万円と言われているだけに、高額の賠償金は「ネット上に氾濫する悪意に満ちた誹謗や事実に基づかない中傷の抑止力になるように」という司法の願いが込められているようだ。