吸引する乾燥大麻より食用大麻が好まれる理由

一般的に食用大麻は乾燥大麻よりも少し割高になっている。

たとえば、カネーの人気製品のチョコチップクッキーは1枚9ドル(約990円)で売られているが、これは平均的な乾燥大麻約1gの値段に相当する。1gあれば通常、紙巻タバコ(ジョイント)を数本作れるので(つまり、数回楽しめる)、コストパフォーマンス的には乾燥大麻のほうがいい。

写真提供=カネ―
人気製品のチョコチップクッキー

にもかかわらず、なぜ食用大麻の人気が高まっているのだろうか。

1つはコロナ禍の影響もある。つまり、ウイルス、あるいはそれに似た不衛生なものを極度に恐れる「ジャモフォビア(細菌恐怖症)」の傾向が強まり、仲間とジョイントを回して吸うというかつての「大麻文化」に象徴される方法を避け、安全にかつ控えめに(目立たないように)摂取できる食用大麻を好む人が増えているのではないかということだ。

また、食用大麻のTHCやCBDの含有量が詳細に表示されていることも消費者の安心につながっている。

一方で、食用大麻は胃や腸で消化されて吸収されるため、吸引する乾燥大麻より効き目は遅い。その分、効果は持続するので、ゆっくりと楽しみたい消費者には人気がある

創業6年で従業員を10倍に拡大

食用大麻の売上高が米国の合法大麻全体に占める割合は数年前に5~6%だったが、2020年には10%を超えた。これは大麻スイーツなど若い女性でも接種しやすい製品が、新規顧客を開拓しているとみられる。

キングさんはABCテレビの番組でほぼ同年代に見える女性記者に「食用大麻の新しいお客さんはどういう人たちですか?」と問われ、「あなたや私のような人、若いママだったり、おじいちゃんやおばあちゃんだったりします」と答えた。

カネーはカリフォルニア州で嗜好用大麻が合法化された2018年1月以降、売上が急増し始め、業務を大幅に拡大した。従業員も2015年創業時の5人から50人に増やし、近いうちに隣のアリゾナ州へ進出するという。

彼女は「まもなくですし、ワクワクします。最終的にはすべての州に進出したいですね」と話す。