「子育て罰を改善する気がないのではないか」岸田文雄氏
岸田氏の子ども政策の目玉は、賃金水準の改善を中心とした中間層への企業分配の強化と、住居費・教育費支援です。
・特に、子育て世帯にとって大きな負担となっている住居費・教育費について、支援を強化。(岸田文雄 総裁選特設サイト「3つの政策」)
総裁候補として、自民党議員・党員をターゲットした政策として、中間層への支援を掲げることは戦略的選択として当然のことでしょう。
しかし、企業分配の恩恵を受けるのは、大企業の正規労働者が中心になります。
少子化・非婚化が進む若い世代が安心して子どもを産み育てるには、それだけでは不十分であり、現金給付や教育の無償化を含む政府再分配の大幅拡充が必要になります。
住居費・教育費は、若い世代の婚姻を促進し、また子育て世代にとってもダイレクトに効果のある政策になります。
いっぽうで教育の無償化の拡充方策や住居費支援の金額・所得範囲や具体策については、これまでの総裁選の中では発信されていません。
住居費だけでなく、食費や服や靴も買えない貧困世帯の親子に対しては、現金給付が必要です。
しかしいままでの総裁選の発信の中では、現金給付については4人の総裁候補の中でもっとも関心が薄いのではないか、歴代自民党総裁と同じように子育て罰を改善する気はないのだろうかと心配な気もいたします。
聞く力を子育て世帯に傾けて
岸田氏ご自身が強みとして挙げられている「聞く力」、そして会見や演説から感じるお人柄のあたたかさを、貧困状態の子どもたち親たちにこそ向けていただければ、具体的な政策が充実されると期待しています。
子どもたちや、衣食にも困る親子の声は、子どもの貧困対策支援団体であるキッズドア渡辺由美子理事長への取材にもとづく以下の記事からも把握いただけます。
長引くコロナ禍で親が仕事を失った家庭では、子どもの貧困が深刻です。
若くて元気な夫婦が「収入ゼロ」で子どもが「1日1食」という実態があります。
※参照:小林明子「玄関で正座して食べものを待つ子どもがいる。コロナ禍の『見えない被災者』」
本当に大変な状態にある人々は声をあげることすらできません。
声なき声にも耳を澄ませていただけること、その声をノートに書き留めていただき必要な政策と財源を打ち出していただくことを、心待ちにしております。