マネックスとの提携で両者の関係に変化が
それに対して、2019年4月からSBIは新生銀行の株式を取得し始めた。同年の9月上旬、SBIは新生銀行に提携を求めた。また、同じ月にSBIは地銀との資本業務提携を始めた。SBIは、第4のメガバンクを目指して地銀との合従連衡を進めるために、新生銀行との関係強化を重視していた。システムの共通化や提供する金融サービスの拡充など、SBIは銀行ビジネスの強化と効率性の向上につなげたいと考えていたのだろう。
しかし、新生銀行がSBIのやり方に追随するにはかなりの抵抗感があった。2021年1月に新生銀行は独自性を守るために、マネックスとアライアンスを組んだ。マネックスはネット証券分野でSBIのライバルだ。それをきっかけに、SBIと新生銀行の関係が不安定化した。2021年6月の新生銀行の株主総会では、SBIが取締役選任議案に反対票を投じた。その上で、今回、SBIは約4割のプレミアムを付けて新生銀行へのTOBを発表した。
新生銀が検討する“ポイズンピル”とは?
新生銀行はSBIのTOBに対抗する方針であり、あくまでも独自性を維持して収益力を強化し、公的資金を返済したいとの意思表示だろう。新生銀行はTOBに対抗するためにアドバイザーを起用しさまざまな対応を検討している。
新生銀行が今回導入を決めたポイズンピルとは“毒薬条項”と訳される。新生銀行は、SBIを除く既存の株主に事前に新たな株の予約権を無償で配る。そうすることによって、買収を目指す者の持ち株比率を下げ、買収を困難にするのがポイズンピルの目的だ。買収防衛策に関しては、11月の株主総会において株主に発動の是非を問うことが目指されているようだ。
セブン&アイ、ソニーグループの名が挙がるが…
また、友好的に支援の手を差し伸べる“白馬の騎士=ホワイトナイト”探しの選択肢もある。新聞などでは、セブン&アイ・ホールディングスやソニーグループなどの可能性が報道されている。新生銀行が持つ消費者金融ビジネスは、事業会社が金融ビジネスを強化するために重要だ。フィンテック(最先端のデジタル技術を活用した金融ビジネス)の強化のためにも、新生銀行に関心を持つ企業や金融機関が登場する可能性がある。
投資ファンドが新生銀行に救いの手を差し伸べるのではないかとの見方もある。今後の展開によっては、SBIによるTOBが敵対的TOBに発展する可能性もある。