「1日2時間機内モード」から始めていった
とはいえ、長く依存してきたSNSと訣別するのは大変だった。
「Facebookはもう見ない」と誓っても、“パブロフの犬”のように朝起きればスマホに手を伸ばし、アプリを開こうとしてしまう。
同世代で頑張っている友人たちの華々しい投稿を想像すると、「私だけが立ち止まっていいんだろうか」と、急に不安になる。
SNSをやめるために約2年間をかけて、以下の3つのステップを踏むことにした。
ステップ1:時間を制限する
ステップ2:スマホからアプリを削除する
ステップ3:アカウントを退会する
ステップ1は、「時間制限」だ。手始めに、起床後の1時間と就寝前の1時間は「機内モード」にして、SNSだけでなく、ネット自体を使えないようにした。さらに仕事がオフの日は、「午前中は見ない」「午後の13時から16時までは見ない」と、オフラインの時間を延ばす。
ダイエットと原理は同じで、いきなり制限をかけると反動でやりたくなる。
だからこそ、SNSをやりたい気持ちに蓋をせず、機内モードの時間を少しずつ増やすことによって、ソフトランディングで「つながらない生活」に自分を慣らしていった。
半年で「全アプリ削除」までたどりついた
踏ん張り続けて半年も経たつと、つながらない生活にだいぶ慣れてきたため、ステップ2「スマホからアプリを削除(アンインストール)」へ。Twitter、Facebook、Instagram、ブログと、発信で使っていた全アプリをスマホから削除した。ただしここでも、パソコンからはアクセスできるようにして逃げ道をつくった。当時の私は原稿執筆と資料作成だけはパソコンで、それ以外はスマホの利用だったため、効果はテキメン! 特定の仕事以外ではアクセスしなくなり、SNSのことを次第に忘れ、やりたい欲求も薄れていった。
最終段階のステップ3では、遂に「SNSアカウントを退会」。アカウントを退会したのは、ちょうどグループで海外視察に出発する日の朝だった。周囲の数名に「今から退会するよ」と声をかけ、断髪式のように実行。「本当にやったか〜」「この経験はいずれ誰かの参考になるね」と、様々な言葉をかけてもらったことを思い出す。日本を発つ飛行機の中でSNSと共に生きた思い出に浸りながら、「SNSのない新しい世界」への希望に胸を膨らませたのだった。
ステップ1だけでも効果はある。就寝前、起床後の1時間だけでも「機内モード」にしてみよう。慣れてきた人はステップ2、ステップ3にも挑戦してみよう。