安倍氏、麻生氏への責任追及では歯切れが悪い
二階俊博幹事長の交代を念頭にした「党役員は3期3年まで」という党改革案は注目された。しかし、閣僚の「任期」については言及していない。これは、8年以上財務相を続けている麻生太郎氏への遠慮ではないか、との疑念が浮かぶ。
「桜を見る会」「森友疑惑」など、安倍政権が残した負の遺産の解明にも、積極性は感じにくい。つまり安倍氏、麻生氏に関連することの追及は、二階氏に対する時の歯切れ良さがない。
菅氏の急失速は、8月22日に地元・横浜で行われた市長選で、自身が推す小此木八郎氏が惨敗したところから始まった。「これでは衆院選が戦えない」という声が上がったのだ。
一方、岸田氏は4月に地元広島県で行われた参院再選挙で党公認候補を勝たせることができなかった。党県連会長だった岸田氏は、敗北を受けて「秋に総裁選出馬は厳しくなった」との観測も出たほどだ。「選挙の顔」として適任とは言いがたい。
これから岸田氏は、他の候補者たちからの標的となる
岸田氏は「幹事長は3年まで」という党改革案で、菅首相、二階幹事長という不人気コンビのアンチテーゼとして持ち上げられた。ところが、その2人の「退場」が決まった今、岸田氏の改革案は、総裁選の争点ではなくなってしまった。
今後、総裁選レースは石破氏、河野太郎行革担当相、高市早苗前総務相らの名が上がっているが、既に出馬を表明して一定の支持を得ている岸田氏を中心に繰り広げられるのは間違いない。つまり岸田氏は、他の候補者たちからの標的となる。
守りに入った時、ここで紹介したような岸田氏の矛盾や弱点がさらけ出されることになる。その場合、マスコミの報道も、再び手のひらを返すことになるかもしれない。岸田氏が真に首相の器であるのかどうか。激しい政局がまだ続くことは間違いないだろう。