ネットがない時代のほうが、遠くまで観察できていた

仮説は、観察を始めるときの最強の道具になる。

現代はたくさんの道具がある。その道具に振り回されると、人は観察ではなく「観測」を行ってしまう。観測をすると、データという手触りのあるものが手に入る。それで、何かを得た気持ちになり、安心してしまう。インターネットをはじめとした道具など何もなくても、仮説だけを頼りに世の中を見ていた人たちのほうが、ずっと遠くまで観察できているように思う。

佐渡島庸平『観察力の鍛え方』(SB新書)

たとえば、2500年ほど前の古代ギリシア。ギリシア人たちは、「火・空気・水・土」で世の中が構成されていると考え、その仮説にもとづいて、世界を観察し、思考を深めた。そして、観察を続ける中で、四元素という仮説自体もアップデートされていった。中国でも同じだ。五行は「木・火・土・金・水」の5つから世の中が構成されているという仮説だ。

西洋でも東洋でも、大胆な仮説があり、その仮説をもとに世界が観察された。様々な観察が起きたおかげで、仮説がアップデートされた。ニュートンの万有引力の法則も同じだ。

たくさんの情報と道具が現代社会にはあふれている。そういうものを全て一度手放し、仮説だけを武器にする。それが観察力を磨く方法だ。

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