節約を心がける

私がお金の心配をしない方法を紹介することに対して、多くの読者は「安月給で生活したことがないから、そんな偉そうなことが言えるのだ」と反発するに違いない。

だが、私自身、経済不安を抱えて生きてきた。農場で1日に10時間も重労働をして疲労困憊したものだが、1日の賃金は1ドルどころか、たった5セントだった。

浴室も水道もない家で20年も暮らすことがどういうことか、私はよく知っている。零下15度の寝室で眠ることがどういうことかも知っている。5セントの交通費を節約するために靴の底に穴が開くまで歩き続けることがどういうことかも知っている。

ところが、そんなときでも私は収入の中からわずかなお金を貯めるように工夫した。この経験の結果、経済不安を避けたいなら、企業がコストカットをしているのと同じように予算を組んで節約を心がけなければならないことに気づいた。

自分のお金の使い方をよく考える

ふだん世話になっている出版社のレオン・シムキン部長は、「不思議なことに、あまりにも多くの人が自分のお金に関してデタラメなことをしやすい」と指摘し、「ある経理担当者は会社のお金に関してはきちんと管理できるのに、自分のお金に関してはとてもいい加減だ」と言った。その経理担当者は家賃や光熱費などのことを考えず、給料をもらうとすぐに衝動買いをするのだそうだ。もし会社がこんなふうに無分別なお金の使い方をしたら、すぐに倒産してしまうだろう。

自分のお金に関しては、自分で事業を営んでいるようなものだ。つまり、自分のお金の使い方を決めるのは、あなたの仕事なのである。

事実を紙に書きとめる

アーノルド・ベネットが半世紀前にロンドンで小説家になったとき、貧しくて生活に困窮していた。そこで彼は6ペンスごとに自分のお金の使い道を記録することにした。このやり方がたいへん気に入ったので、彼はのちに巨万の富を築いて世界的に名を知られるようになってからも帳簿をつけた。

D・カーネギー『超訳 カーネギー 道は開ける エッセンシャル版』(弓場隆訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン)

大富豪のジョン・ロックフェラーも帳簿をつけていた。彼は夜の祈りの前に自分のお金の使い道を細かくチェックしていた。

どうやら私たちも帳簿をつける必要がありそうだ。家計の専門家たちは「少なくとも1カ月、できれば3カ月はすべての支出を正確に把握すべきだ」と主張している。

あなたは自分のお金がどこに消えているかくらい把握していると反論するだろう。たぶんそうかもしれないが、もしそうなら稀有な節約家である。何時間もかけて事実を紙に書きとめると、「ふだん自分はこんなことにお金を使っているのか」と驚くはずだ。