「繊細タイプ」の褒め方・叱り方

この気質が強い子は、とても繊細で鋭い五感や感受性を持っています。色々なことを敏感にとらえる一方で、何事もじっくり考えるため、行動は慎重で控えめです。まじめで誠実な分、思い悩みがちなところもあります。

繊細タイプ(イラスト=『モンテッソーリ教育×シュタイナー教育×森のようちえんから学ぶ 子どもの「生きる力」を伸ばす方法』)
【褒め方】

この気質は、物事を深く考えることが大好きです。考えすぎて不安になることや、行動できないこともあるので、「いつもよくがんばってるね」と、人一倍たくさん褒めて、安心させてあげるくらいの気持ちで接するとよいでしょう。ただし、嘘やごまかしは見破る鋭さがあるため、「ここの色がとってもきれいに塗れたね」などと、いいところを具体的に褒めてあげることが大切です。

五感に優れていて感受性が豊かな分、痛みや不快感、悲しみや辛さなども人より強く感じます。もし、子どもが落ち込んでいるときは、「それくらい大丈夫だよ」などと軽く流すのではなく、たとえ大げさだと思っても、「すごく辛かったんだね」と親身になって同情し、慰めてあげましょう。

【叱り方】

この気質は、色々なことを敏感に感じ、深く考えるため、悲観的になりやすい特徴があります。ちょっとした言葉も深刻にとらえるため、「そんなことしちゃダメでしょ!」などと強く叱ると、自分の全てが否定されたように思ってしまいます。すると親が思った以上に傷ついて、ますます後ろ向きになったり、必要以上に泣いたり怒ったりしてしまうこともあります。

どうしても注意したいことがあるときは、穏やかな口調で「せっかく素敵な絵を描いているのだから、床じゃなくて机で描こうか」などと、いいところは認めたうえで、改善して欲しい行動を具体的に優しく伝えることが大事です。

まじめで完璧主義なところもあるため、ルールや約束がちゃんとわかれば、自分なりに一生懸命がんばることができます。

また、「自分は世界一不幸だ」などとひとりで思い詰めてしまうところがあります。ネガティブに感じることもあるかもしれませんが、そのこと自体を叱ったり、無理にポシティブにさせようとしたりしてはいけません。

むしろ、人生には悩みや苦しみもたくさんあることを認めてあげることが大切です。そして、実際に辛い出来事を乗り越えた人の体験談などが聞けると、「辛いのは自分だけじゃないんだ」と慰められて、自分の殻を破る力になります。

「4つの気質」の活用方法

4つの気質は、どれかひとつだけが強く出るとは限らず、2つ以上が組み合わさって出ることもあります。

4タイプの関係(イラスト=『モンテッソーリ教育×シュタイナー教育×森のようちえんから学ぶ 子どもの「生きる力」を伸ばす方法』)

図表1で隣り合っているタイプは、組み合わさりやすいと言われています。たとえば、アイデアマンで行動力もある子は、ほがらか+怒りんぼうタイプ。人に優しくて感受性が豊かな子は、おっとり+繊細タイプなど。隣同士の場合、2つの気質が混ざり合って出てきます。

征矢里沙『モンテッソーリ教育×シュタイナー教育×森のようちえんから学ぶ 子どもの「生きる力」を伸ばす方法』(総合法令出版)

ただ、まれに向かい合わせのタイプが組み合わさることもあります。その場合は、2つの気質が交代で出てくると言われています。たとえば、みんなの前では明るく活発だけど、ひとりになると深く考え込むような子は、ほがらか+繊細タイプです。

また、時には3つが組み合わさることもあります。

このように、4つのシンプルなタイプ分けでも、組み合わせ方で色々な性格について考えることができるのが、シュタイナーの気質理論の特徴です。

なお、最初に述べた通り、誰もがこの4つすべての気質を持っているというのが、とても大切なポイントです。強く出ている気質の特徴を知ることは、その子の個性を知るための大きなヒントになりますが、それがその子のすべてではありません。たとえば、本当は優しいところがあるのに、カッとなって怒ってしまうところに隠れてしまっているなど、本来持っている気質のいいところが、強すぎる気質の困ったところに隠れてしまっている場合もあります。

強い気質に合わせた対応をすることで、その気質のいいところを大切にしながら、強すぎて困るところを和らげることができます。すると、本来持っているほかの気質も出てきやすくなります。

いま見えている個性を大切にしながらも、その子の持つ色々な可能性を引き出すことで、その子を本当にその子らしく伸ばすことができます。

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