実はやり過ぎ? 20代、30代の乳がん検診
もう一つ、女性にとって大切ながん検診は「乳がん検診」です。マンモグラフィによる乳がん検診は子宮頸がん検診と同じく、死亡率を下げるという明らかなエビデンスがある、意味がある検診です。ただし、効果が証明されているのは40代以上の女性についてです。公的検診の対象年齢も、40歳以上に定められています(検診期間は2年に1回)。
ところが最近は乳がん啓発キャンペーンの効果や芸能人がSNSでいろいろ発信していることもあり、検診のリスクがベネフィットを上回る20代、30代で乳がん検診を受ける人が増えています。なかには「子宮頸がん検診は受けていません。あ、でも乳がん検診は受けてますから!」と、なぜか乳がん検診を免罪符にする方もいて「それ、子宮頸がんと関係ないやん!」と思わず、突っ込みそうになることもあります。
家族歴がある場合は35歳前後から検診を
乳がん検診のリスクは、被爆や擬陽性(乳がんではないのに、検診で要精検となること)、擬陰性(乳がんがあるにもかかわらず、検診で見逃されること)がある点です。擬陽性の場合は、意味のない細胞診や針生検を受けることになり、結果がわかるまで10日間から長いときには数週間、不安を抱えて過ごす負担もつきまといます。早期発見・治療の意識があるのは良いことなのですが、ぜひ20代、30代の性交経験者の方にはしっかり子宮頸がん検診を受けていただき、乳がんの検査は、しこりなどの症状があったときに受けていただければと思います。
40歳未満でマンモグラフィ検査を受けるメリットがあるのは、母親や姉妹に乳がん、もしくは卵巣がんになった方がいるケースです。特に若くしてがんを発症した血縁者がいる場合は35歳前後から定期的に乳がん検診を受けることで、万が一のときでも早期診断と治療に結びつけることができます。