準備が間に合わなければオープンを遅らせる

新店舗のオープンといえば、前日の深夜、あるいは当日の明け方近くまでドタバタ騒ぎが続くのが普通だと思うが……。上司の吉田さんが言う。

店舗オープンが迫っても余裕の表情の吉田さん。(撮影=プレジデントオンライン編集部)

「スケジュール管理ができているというよりも、ワークマンは施工を開始する期日が他社に比べて早いんです。他社の場合、商品の搬入から陳列まで1週間なんて普通のことですが、ワークマンは(個店の場合)1カ月程度の時間をかけます。だから余裕がある。しかも、何日までに仕事を終わらせるという目標は立てても、それは決して期限ではありません。だから、それぞれのペースで仕事ができるんです」

余裕のある日程を設定するだけでなく、ワークマンは仕事に期限を設けない(納期を定めない)というのだが、「目標は立てても期限はない」とは、わかるようでよくわからない言葉だ。

写真提供=ワークマン
ワークマン女子南柏店

「仕事の期限が決まっていたら、プレッシャーを感じてしまって、とにかくその日に間に合わせるように仕事をしてしまうと思います。でも南柏店の場合、オープンの日は決まっていますが、それまでのスケジュールは自由にやらせてもらっています。もしも、スケジュールを決められていたら、『いまいちだけどオープンしちゃえ』ってなるかもしれません。スケジュールが決まっていないからこそ、納得できるまで売り場をよくしたいと思えるんです」(稲富さん)

つまりワークマンでは、「期日を設けてそれに間に合わせる」ことよりも、「納得のいく売り場づくり」を優先しているということになるだろうか。

準備が間に合わなければオープン日を遅らせてしまうことさえあるというから、筋金入りだ。