若者世代はネット動画がテレビに代わる
一方、平日にインターネットを利用する人は、全体で45%。このうち、16~19歳は80%、20代は73%で、「テレビ離れ」が激しい若者ほどネットの利用率が高くなった。
ネット動画の視聴に限ると、10代は男性48%・女性37%、20代は男性44%・女性43%と、いずれも高い利用率で、5割前後のテレビに迫っている。ユーチューブやネットフリクスなどネットの動画配信サービスが普及する中、若者世代はテレビからネットに急速に移行している現実が浮き彫りになった。
このトレンドが続けば、5年後の調査では、若者世代はテレビとネット動画の利用が逆転していることが確実視される。
60代以上でもネットの利用者は急増しているため、全体のテレビ79%対ネット45%という利用率も、限りなく拮抗しているかもしれない。
今回の調査結果について、当のNHK放送文化研究所が「衝撃的」と驚くように、若者にとってテレビは毎日見る「日常メディア」ではなくなりつつある、といえそうだ。
民放キー局は軒並み大幅減収
この数字に、もっとも衝撃を受けているのが民放各局だ。
在京民放キー局5社は、6月17日から29日にかけて相次いで株主総会を開いて新体制を整えたが、2020年度の決算は、全社とも売上高が前年を大きく割り込み、営業利益もテレビ朝日以外は大幅減となった。連結決算でみると、全社とも減益減収だった。
図表3の「民放5局の2020年度決算」を見れば一目瞭然で、見るも無残に「▲(前年比マイナス)」で埋め尽くされた。
こうなったのも、売り上げの大半を占める広告収入が、コロナ禍の直撃を受けて激減、軒並み2ケタの減収になったからだ。番組制作費の大幅削減などで、かろうじて赤字は免れたものの、かつてない厳しい事態に直面している。
落ち込みが大きかったフジテレビ
落ち込みがもっとも大きかったのはフジテレビで、広告収入は14%も減少し売上高は15%という2桁の大幅減、営業利益はさらに大きい29%減となった。連結も、傘下のホテル事業の収益悪化もあって、売上高は18%、純利益は76%の大きなマイナスを記録した。
番組制作費を大幅に圧縮して唯一営業利益を黒字にしたテレビ朝日も、広告収入は12%減で売上高も12%減。連結は、イベント事業の不振が重なり、売上高が10%減、純利益は52%減となった。
TBSは、11%減の広告収入に引きずられて売上高が10%減、営業利益は45%の大幅なマイナスとなった。連結は、ライフスタイル事業が苦戦し、売上高は9%減、純利益も7%減。5局の中ではもっとも規模の小さいテレビ東京は、広告収入が11%減と苦しみ、売上高は7%減、営業利益も9%減。