現代における賢さは「CPU的な思考」である

第2位は、『考えることこそ教養である』でした。

竹中平蔵『考えることこそ教養である』(クロスメディア・パブリッシング)

「頭のいい人」とは、どのような人のことをいうのでしょうか。一昔前までは、「頭のいい人=知識をたくさん覚えている人」だったかもしれません。しかし今、「知識をたくさん覚えていること」がさほど価値をもたなくなり、「頭のいい人」の定義も変わってきています。本書で著者は、情報や知識をどのように使い、どのようにつなぎ合わせて活用するかという「CPU的な思考」こそが、現代における賢さだといいます。

そのような考えのものと、自分の頭で考えて、自分なりの意見や結論を出していくには、「川を上り、海を渡ること」が重要だといいます。川を上るとは、「そもそもそれってなんだろう?」と、成り立ちや歴史的経緯を探ること、海を渡るとは、「他の国ではどうしている?」と他国と比較すること。一つの情報をただ知るだけではなく、その裏側にある事実、データ、歴史、関係性を料理の材料のように並べた上で、自分の中に蓄積された経験や肌感覚をスパイスにして、考えを巡らせることこそが、「考えること」なのです。

これからの時代、「考える力」は間違いなく必須のスキルになるでしょう。考える力をつけるためのヒントとして、学生から大人まで、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

「定期的な1on1」が上司部下の信頼関係を築く

第3位には、『1on1ミーティング』がランクインしました。2017年3月に刊行され、多くのビジネスパーソンに1on1の重要性を説いた『ヤフーの1on1』の続編ともいえる一冊です。

本間浩輔/吉澤幸太『1on1ミーティング』(ダイヤモンド社)

1on1とは、上司と部下の間で行う、1対1の対話のこと。ヤフーでは原則週1回30分、上司が聞き役に徹して部下の話を傾聴する1on1の時間を設けています。

ヤフーはなぜ、貴重な時間を投資して、1on1を続けているのでしょうか。

1on1の目的の一つは、「部下との信頼関係の構築」です。1on1の基本動作である「上司が部下の話をよく聞いて、部下の思いを理解する」によって、上司・部下間の信頼関係が築かれます。人は最後まで話を聞いてくれた人に心を開くものですが、普段のやり取りの中で、常にこれを意識するのは簡単ではありません。定期的に1対1で向き合うことで、信頼関係が自然と築かれるのです。

コロナ禍においてテレワークを導入した結果、上司・部下や同僚とのコミュニケーション不足に悩んでいないでしょうか。1on1が、その課題を解決する特効薬となってくれるかしれません。