なぜ日本企業はDXに失敗するのか
最後にご紹介したいのが、第12位の『いまこそ知りたいDX戦略』。
現在、日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)ブームが起こっています。DXという言葉を耳にする機会が増えたり、DXのプロジェクトにアサインされたりした方もいるでしょう。
ですが実際のところ、多くの日本企業において、DXは失敗に終わっています。その原因は何なのでしょうか。
これまで100社以上の企業のDXを支援してきた著者は、日本企業のDXが成功に至らない原因を「FOMOの壁:何から手をつければいいかわからない」「POCの壁:なかなか実現フェーズに進まない」「イントレプレナー(社内起業家)の壁:リソースが足りない」の3つの壁として定義しています。
例えば「FOMOの壁」に直面している企業は、DXに関心を抱きつつも、何から始めればいいかわからず、実行できない状況にあります。DX室を新設したものの、アジェンダ、ビジョン、目的やロードマップなどが明確になっておらず、社内のヒアリングに時間を費やすばかり――これが典型的な、「FOMOの壁」の前に立ち尽くしている状態です。
このような企業がDXを進めるには、「何をやりたいのか」「どんな課題を解決したいのか」を明確にすることが大切だと著者はいいます。現場の抱える課題をヒアリングしていくと、「事務業務を自動化したい」「カタログの改訂を効率化したい」などといった課題が見えてきて、DXへの一歩を踏み出せるでしょう。
このように本書では、日本企業がDXに失敗する原因(壁)を特定するとともに、その壁をこえる方法を提示しています。「何から始めればいいんだろう」「思ったようにプロジェクトが進まない」と悩む前に、本書を手に取り、DX推進の足掛かりとしていただければと思います。
今月も、勉強法や読書法からマーケティングまで、幅広いジャンルの本がランクイン。ほかにも、先月第20位だった『学び方の学び方』(バーバラ・オークレー/オラフ・シーヴェ著、宮本喜一訳、アチーブメント出版)が第6位、第2位だった『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』(三谷宏治著、三笠書房)が第16位と、依然として多くの方に読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。