「増田さんが池上さんと対等にやりとりしている」

【池上】今見ても、増田さんから突っ込まれて、オレがタジタジになっているのがわかるよね。長いこと、ニュースの解説ばかりをしてきたので、自分の意見を言うということに慣れていないんだよ。

【増田】実はこういうやりとりは、動画の中でも外でもあって、私が遠慮会釈なく池上さんに対して突っ込むのは日常的なこと。視聴者の皆さんは、きっとハラハラしてご覧になっていたことでしょうね。スタッフだって最初はハラハラしていたんですから。そんな私の態度が批判されてしまったこともありました。

【池上】ふだん、たとえばテレビではオレが解説をして、女性タレントあるいは女性アナウンサーが聞き役をするという構図が多いものだから、そのくせが抜けなかったんだよね。テレビとは全く違う世界が新鮮だったな。コメント欄に、テレビと違って、増田さんがオレと対等にやりとりしている、という書き込みもあったよね。

池上彰、増田ユリヤ『メディアをつくる!』(ポプラ新書)

【増田】情報番組やニュース番組は、男性が解説して女性アナウンサーが「素直に受け止めて」聞き役に回る、というイメージが、視聴者にもしみついているのでしょうね。

【池上】増田さんのツッコミがあるからこそ、予定調和にならず、ニュースのわかりづらいところがわかりやすくなるし、見ごたえあるものになっているんだと思うんだよね。

今、あらゆる分野でジェンダー平等が言われるようになってきている。男性が解説し、女性が拝聴しながら頷くというのは、もはや前世紀の遺物という感じだよね。これからは、男女で話をする場合でも、男性が過激なことを言ってあおったり、女性が過剰な反応をしたりするのではなく、真の意味で対等なスタンスで話し合うというスタイルが、いろんなところに広がっていくんじゃないかな。われわれは、その先頭を走っている、ということだ(笑)。

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