もちろん、行動の背景には性格があるわけで、行動だけに文句を言って、性格については言わないというのは、難しく感じるかもしれません。

たとえば片付けが苦手で部屋を散らかすという行動は、その人の性格のせいともいえます。そんなときはつい、「だらしない性格!」などと怒ってしまいますが、これでは性格を非難することになります。あくまで「部屋を散らかさないで!」と行動だけを非難した方がいいのです。

なぜなら、「結果としての行動に不満があるだけで、あなたのことが嫌いなわけではない」ということになるからです。要するに、「罪を憎んで、人を憎まず」というわけです。

ダメ出しは具体的に

逆に言えば、行動ではなく根本的な性格について悪く言うようになったら、それは相手への嫌悪感がかなり高まっているといえるでしょう。

「行動には腹が立つけれど性格は許せる」と思っているのと、「性格が許せない」と思っているのでは、まったく違うのです。

また、「行動」は気をつけることで改善することができますが、「性格」は簡単には直せません。直せないことについて文句ばかり言われると、相手はどんどん追い詰められてしまうのです。

行動について注意するときは、できるだけ具体的に指摘すると効果的です。

たとえば、ただ「散らかすな」というのではなく、「脱いだ服はここに置いて、ゴミはここに入れて。それだけは守って」などと具体的に伝えた方が、「だらしない性格を直して」と言われるよりは、はるかに改善しようという気持ちになれるはずです。相手にとっても自分にとっても、この方が良い結果に結び付くといえるでしょう。

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相手も自分も幸せになる「4種のプラスのストローク」

一緒に過ごす時間が長くなってくると、とくに口にしなくなるのが、相手への感謝やほめ言葉などです。

津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)

夫婦や恋人、パートナーという関係であれば当然、相手に対する好意や温かい気持ちをたくさん抱いているはずですが、親しいだけに、口に出して伝えるのが気恥ずかしくなってしまったりします。

また、前述のように「言わなくてもわかっているだろう、伝わっているはずだ」と考えてしまうところもあるでしょう。

しかし、既に述べた通り「察してほしい」というのは無理があるのです。相手を大切に思う気持ちは、ぜひ口に出してちゃんと伝えましょう。

そこで活用していただきたいのが、「4種のプラスのストローク」です。ストロークは直訳すると「なでる」「さする」という意味で、会話において相手の心を温かくなでてあげるような「心のスキンシップ」をしよう、ということです。