「独学」に適しているのは誰か?
独学を進める人として想定しているのは、学校教育を終えて仕事についている方々だ。独学を進めることによって、さらに能力を高め、新しい可能性を切り拓いていただきたい。日本の未来は、そうした人たちの努力によって作られていくだろう。
また、大学で学ぶ機会が得られなかった方々に、申し上げたい。大学で教えていることは、独学によっても習得することができる。だから、「大学を出なかった」というだけの理由で自ら可能性を狭めないでいただきたい。
独学がきっかけとなって皆さんの人生が変わるなら、このうえない幸せだ。なにより私自身が、独学によって人生を切り拓いてきた。
独学をスタートするための6つのポイント
① 独学を阻害する「3つの思い込み」を抜け出す
私が提案するのは、「周到な準備をしてから始めるのではなく、とにかく始める」ということだ。どんなことでも、いったん始めれば進展する。最初の第一歩を踏み出すことこそ重要だ。ところが、これはそれほど簡単なことではない。
では、どうしたら第一歩を踏み出すことができるか? 次の3つの思い込みから脱却する必要がある。
第1は「勉強のためには学校に通わなければならない。あるいは、先生につかなければならない」という考え。第2は「独学は難しい」という思い込み。そして第3は「独学できる人もいるかもしれないが、私にはできない」という考えだ。これらは、独学の可能性を具体的に検討したうえでの結論ではなく、単なる思い込みなのである。
たとえば、毎日ひとつ、新しい言葉の意味を調べることだ。このように簡単な方法によって、独学への門が開かれる。
② 私自身、人生の基礎は独学で決まった
私は、中学生の頃から、学校の勉強のかたわらで独学を続けてきた。そして大学での専門分野とは違う分野で仕事をすることとなったが、このための知識は独学で身につけた。私は、いまに至るまで独学を続けている。私の人生の基礎は、学校での勉強ではなく、独学で決まったのだ。
③ 独学によって新しい働き方が可能になる
技術進歩が加速化しているので、学校時代に学んだことは急速に陳腐化する。さらには、新しい技術のために仕事が消滅してしまうこともある。しかし、変化は同時にチャンスを意味する。それを活用することが重要だ。
日本では、これまで組織に依存して仕事をする人が多かった。しかし勉強を続けることによって個人の価値を高めていけば、組織に依存しない生き方が可能になる。兼業や副業を認める企業が日本でも増えつつあるので、現役時代から準備を進めれば、定年後にそれを拡大して生涯仕事を続ける、という働き方も夢ではなくなる。
④ 独学で重要なのは「カリキュラム作り」
独学のもうひとつの問題は、「何を学ぶべきか」というカリキュラムだ。学校ではカリキュラムは与えられるが、独学の場合には、それを自分で作らなければならない。方向を間違えては、いくら努力しても成果は上がらない。
⑤ 「検索」を最大限に活用する
独学を進める場合の強力な武器は、検索だ。いかにして検索するかという方法論が重要になる。検索すべきキーワードが分からないときにどうするかが、最大の問題だ。
⑥ AI時代こそ独学が重要
AI(人工知能)がいかに進歩しても、勉強の必要性はなくならない。それどころか、AIが進歩するほど、人間でなければできない仕事の価値が高まり、勉強の必要性が高まるだろう。情報技術の発達が勉強に大きな影響を与える。