賛否両論がありそうでも、果敢にチャレンジ

「日本人はライバル対決を好む」という国民性があるという話から着想を得て、「他社とのライバル対決」という仕立てでプレスリリースを出したときも、大きな反響がありました。これは、2019年3月に「WORKMAN Plus ららぽーと甲子園店」がオープンしたときの話です。

WORKMAN Plus ららぽーと甲子園店(写真提供=ワークマン)

「オープンします」というだけでは、なかなかメディアは関心を持ってくれません。そこで他社を巻き込み、「ライバル対決」のストーリーをつくりました。

ライバル役は、フランスのスポーツ用品メーカーであるデカトロン社。ちょうど同じ3月に、ららぽーと甲子園から約3キロと近い阪急西宮ガーデンズに日本1号店をオープンすると知り、顔見知りだったデカトロン社の開発担当者と相談した上で、「西宮戦争」と銘を打って、リリースを出したのです。

デカトロン社は、当時、日本での認知度は低かったものの、世界的に見ると弊社より圧倒的に大きな企業です。「日本の小さな企業が海外からやってくる大きな企業に立ち向かう」というストーリーでリリースを書き、露出を増やそうと考えたのです。

ライバル会社との協働で納めた大成功

すると、狙った形で複数のメディアが取り上げてくださいました。このリリースの成果もあってか、18年の日経トレンディのヒット予測ではデカトロン社とともに1位を獲得。翌19年にはヒット商品で1位を獲得し、日経トレンディ史上初となる2年連続受賞となりました。

ちなみに、このプレスリリースは出した後に賛否両論がありました。「戦争」という言葉を使ったことにより、一部のメディアには「企業のリリースとしては過激だ」と批判的な記事を書かれてしまったのです。

しかし、攻めた方法を採れば、否定的な意見をいただくことは避けられないものです。慎重になりすぎると、何もできません。他社を貶めるのはいけませんが、お互いにとってプラスになると予想したなら、思い切ったリリースにチャレンジしても良いのではないかと思います。