「女性側がお金を払う」マッチングサービスもある

一方で現実的な考えを持つ未婚女性の多くは、年収の多さよりも結婚相手の候補となる男性の職業安定性に敏感になっています。欧米型の市場経済が日本企業にも浸透し、雇用規制の緩和によって正社員以外の労働者が増えたことから、公務員や銀行員のような安定した職業に就いている男性が結婚相手として人気が高いのです。

山田昌弘『新型格差社会』(朝日新書)

若い女性の多くが、自分が親から与えられたような生活を結婚後も維持し、戦後型家族の典型であった「父親が働きに出て、母親は主に家事をして家を守り、2人から3人の子どもを育てる」という家族形態を望んでいます。不安定な職業の男性と結婚してしまっては、リストラなどにあったときに生活できなくなるリスクがある。そのリスクを回避するために、安定した職業の男性を求めるのです。

昨今では、「出会い」のスタンダードとなりつつあるインターネットを利用したマッチングサービスにおいても、安定した職業の男性が有利な「買い手市場」になっています。結婚を前提としない出会いを目的としたマッチングアプリでは、男性が女性にコンタクトをとるのにお金を払うサービスが一般的です。

それに対して婚活目的の「優良な男性会員多数」を謳うサービスの多くは、男性会員は年収や大企業の正社員であるなどの条件を満たせば会費がかからず、逆に女性側がお金を払う仕組みになっているところもあります。

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