ETF投資ではその国の経済が伸びることが重要になる

さらに株式の個別銘柄に投資するには、これまた一定の知識が必要となる。

そこでアメリカや日本の経済全体に投資するという方法がある。「ETF(上場投資信託)」だ。ETFとは、S&P500(アメリカ)や日経平均など、その国の株価指数そのものに投資するようなものだ。株価指数はその国の複数の株価から弾き出されるが、その計算に用いられる株式を売り買いするようなもので、結局、株価指数に投資したことと同じになる。

個別銘柄への投資ではなく、その国の経済力に投資するようなものだ。

株価が上がることはもちろん、ETF投資ではその国の経済が伸びることが重要になる。

ゆえに投資制度だけでなく、日本社会全体の経済成長を促進することも重要となるのだ。GDP(国内総生産)世界1位のアメリカ、そして2位の中国は急速に成長を続けている。翻って日本は、バブル崩壊以降ほとんどGDPが伸びていない。

新たな市場は流動性の高い社会で生まれる

そして国々の経済成長は、つまるところ流動性に左右されるものだ。

例えば、南アフリカ出身の実業家イーロン・マスクはアメリカに移住して、テスラやスペースXなどの企業を立ち上げ、アメリカ経済を牽引している。失敗をものともせずロケットの打ち上げを繰り返し、宇宙ビジネスの市場を切り開いていった。

ロケット打ち上げの失敗動画を堂々と公開し、ロケットが大爆発しても、ちゃんとデータが取れたから成功だと言ってのける自信。その様子には、僕も感動してしまった。

アメリカは新参者がチャレンジすることを大いに認める社会だ。もちろん市場のニーズに合わなければ容赦なく退場を迫られる。

中国は共産党の一党独裁体制下にあり、そのことには僕は反発を覚える。だが、ビジネスについてはアメリカと同様激しすぎるほどの流動性のなか、企業は切磋琢磨し、世界で戦っている。

そのような流動性のなかで従来にない市場が生まれ、そこにヒト、モノ、カネが流れ込み、さらに市場が拡大していく。

これが経済成長するということだ。

社会としての流動性を高めて、企業活動を盛んにして、経済成長を促す。庶民の投資を促す制度を整備し、最低限の生活についてはベーシックインカムで支えるようにし、そして庶民の投資が果実を得られるだけの経済成長を果たす。これが老後も安心して暮らせる社会ではないだろうか。

そのために一般の人々も貯蓄から投資へとマインドを転換する必要があるだろう。