政治分野では世界147位

毎年、世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数では、日本の男女平等が特に政治の分野で遅れている現状を物語っている。3月31日に発表された最新のレポートでは、世界156カ国中、日本は前回の121位から1つ上がって120位。しかし、政治分野においては147位という、先進国とは思えない低い順位だ。女性の議員と閣僚の人数がほとんど増えず、女性首相も今だに誕生していないことが影響している。

女性に対する差別的発言で、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会のトップが森喜朗会長から橋本聖子会長に変わったのも記憶に新しい。また、東京オリンピックの開閉会式の企画、演出の統括役でクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、豚に扮するタレントの渡辺直美さんが「オリンピッグ」というキャラクターになる案を仲間うちのラインで提案していたという話も最近話題になった。

これは、多様性の欠ける同質性の高いグループにどっぷり浸かっていたため、以前は問題視されないような発言やお笑いネタが、時代の変化とともに許されなくなっていることに気づけなかったからではないだろうか。そういうグループでは、異なる視点や革新的な考え方も出てきづらい。世界経済フォーラムのマネージングディレクターであり、ジェンダーギャップ指数調査責任者のサディア・ザヒディ氏も「ベストな考え方(アイデア)は、同質的なチームからは生まれないというのは、すでに周知の事実だ」と指摘する。

そして、これが政治の世界であれば、人口の半分の女性たちの声が政策に反映されず、本当に必要な政策の優先順位が後回しにされるといったようなことも起こりうる。

写真=iStock.com/imacoconut
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自民党は、3月に行われた党大会で、「党におけるあらゆる意思決定に女性の参画を確保し見える化する」と明記した2021年運動方針案を採択した。女性政策が運動方針で項目化されたのは初めてだそうだ。菅義偉首相も「全ての女性が輝く社会、作ってまいります。党においてもあらゆる意思決定に女性の参画を確保し、見える化するこの方針に沿って全力で取り組んでまいります」と党大会で挨拶をした。

今年中には衆議院選挙が行われる。森前会長の発言をきっかけに、女性の地位向上が注目されている中、政権与党がはたして有言実行できるのか、そして今の日本の政治がこの国の姿を反映するものに少しでも近づくことができるのか、有権者としても注目していきたい。

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