「PM理論」で自分のタイプをチェック

ヒューマンマネジメントとタスクマネジメントのバランスは難しい問題ですが、もうひとつ参考になる考え方があります。

私が管理職研修でよく使っている「PM理論」というものがあります。これは社会心理学者・三隅二不二さんが1966年に提唱したリーダーシップ行動論のひとつです。

「PM理論」とは、リーダーシップは「目標達成能力(Performance)」と「集団維持能力(Maintenance)」の2つの能力要素で構成されるとして、組織のリーダーのタイプを4つに分類したものです(図表2参照)。

※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

横軸が「人の気持ち」=ヒューマンマネジメント、縦軸が「成果」=タスクマネジメント、そのバランスで4つのタイプに分けられます。新人やメンバークラスの人も将来の参考になるはずです。自分はどのタイプなのか、チェックしてみましょう。

PM(説得型)

目標を明確に示し、成果をあげられるとともに、集団をまとめる力もあるタイプです。「なんでやるかわかるか?」と目標達成の意義を伝え、「やったか?」と進捗もきちんと管理し、「できたな、よかったな」と部下の気持ちのメンテナンスもできます。目標達成と集団維持、どちらの能力もある理想的なリーダー像といわれています。

Pm(指示命令型)

目標を明確に示し、成果はあげるものの、集団をまとめる力は弱いタイプです。

パフォーマンスにうるさく、人の気持ちはあまり考えません。「仕事の意味? いいから、まずやれ!」「手を動かせ!」「おい、やったか?」のような管理職です。「あの人、仕事はできるけど、絶対一緒に仕事したくないよね」はこのタイプに多いです。

pM(参加型)

集団をまとめる力はあるものの、成果をあげる力が弱いタイプです。パフォーマンスにはあまりうるさいことをいわず、人の気持ちだけを見ています。

「元気? 最近どう?」「飲み行こうか」みたいな管理職です。部下から人気はありますが、「あの人いい人なんだけど、仕事できないよね」といわれがちなタイプです。

pm(委譲型)

成果をあげる力も、集団をまとめる力も弱いタイプです。「よきにはからえ、くるしゅうない」と、部下に仕事を丸投げして、気持ちのケアも特にしません。目標達成と集団維持、どちらもできない・しない管理職です。

一般的には、理想的なリーダーは説得型、ダメなのは委譲型といわれています。ただ、部下のタイプや成長度合いによっては、必ずしもそうとは言い切れません。